« 2005年4月 | トップページ | 2005年6月 »

2005/05/25

根拠の選択

自分の主張、あるいは研究で新しく発見されたこと。これらを支える根拠はとても大切なものだ。そして、評価する価値があるかないのかをよく考えなければならないものでもある。

わたしは大学時代は生物系の研究室に所属していた。卒論ももちろん書いたが、そこには研究で行った全ての実験データを記したわけではない。自分の研究を支えるでもなく、否定するでもないデータというものが存在し、それらは卒論には載せなかった。なぜなら、論文に無駄な装飾をすることになるからだ。

時間やスペースが限られているとき、引き合いに出す根拠を選ぶことはより重要なこととなる。そして、以前述べた「率直に、簡潔に、そして論理的に」表現する能力もまた結果を左右する。

なぜこんなことを書いているかというと、 MSがLinux対抗キャンペーンで「信頼性はWindowsが上である」と述べたことに対して、オープンソース支持者のブルース・ペレンス氏がとんでもないことを根拠に反論したからである。
参照: http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0504/06/news058.html

氏、曰く「ウイルスのことを考えるべきだ。私のメールボックスには毎日、 Windowsを標的とする30のウイルスが届けられる。これらのウイルスは既に感染してしまったシステムから送られてきたもので、(感染したユーザーの)知り合いすべてにウイルスを送りつけている。 Linuxやオープンソースソフトではこれほどの問題は起きていない」

これが信頼性を評価するにふさわしくないのは少し考えればすぐにわかるんだ。視点を変えてみることだ。つまり、製作者の立場で考えてみることだ。 Malwareを作る動機はいくつか考えられる。 多くのマシンが感染するプログラムを作ることで自身の技術力を誇示したい、 DDoS攻撃を行うために多くの踏み台がほしい、なるべく多くのマシンから情報を盗みたいとかね。さて、いくつか製作者の動機を並べてみたが共通することがあることに気づくだろう。そう、製作者はなるべく多くのマシンに感染させたいんだ。

となれば、どのプラットフォームをターゲットにすれば効率がいいのかわかるよね?
いまのところ、PCの9割以上はWindowsで、残りがLinuxやMac、FreeBSDだ。なるべくたくさんのマシンに感染させたいと思っているのに 5%にも満たないLinuxをターゲットにした攻撃コードを書くかい? Macをターゲットにした攻撃コードを書くかい? LinuxやMacユーザはとても数が少ないんだ。 100台のマシンを無作為に選んで攻撃をした場合、 Macをターゲットにしても効果があるのは5台以下なんだ。 WindowsのHotfix適用率が8割でMacやLinuxがインストールされているマシン全てでセキュリティホールが放置されていた仮定としても Windowsを狙ったほうがよりたくさんのマシンに感染させることができる。「たくさんのマシンに感染させる」という目的から見ればよほど頭が悪いか、物好きでない限りはLinuxやMacをターゲットに選ぶことはないことがわかるだろう?

このように、少し考えれば否定されるような根拠を挙げることは自らの首を絞めかねない。根拠はとても大切なもので、選ぶことは慎重にやらなきゃならない。

おまけ:
わたしから見たWindowsがLinuxよりも勝っている点は、ドキュメント、ドライバ、アプリケーション、操作性だ。ドキュメントはMS社がかなりの量を公開しているし、情報サイトでは実例も交えて経験の少ない技術者でも解るように噛み砕かれた説明がされていることが多い。多くの情報サイトではフォーラムも管理されているのでわからないことは現役の技術者に質問をして解決に導くことができる。これらの情報は日本語でほとんどを得られるという大きな利点がある。英語のドキュメントも良質な(読みやすい)ものが多く、中学生レベルの英語が読めるならば更なる情報を得られる。デバイスもWindowsを前提に発売されるものが多く、製品には大抵はドライバが付属する。Appも事務用からホビーユース、サーバーデーモンまでほとんどが揃う。操作性も視覚的直感で操作できるように工夫されているものが多い。総じて入り口が広いので気軽にITへ踏み込める。
一方で、デメリットはブラックボックスとほとんどが有料であることだろう。改良すればよりよくなるだろうと思うところがあっても Srcが入手できないので改良することができないし、セキュリティホールはベンダーがリリースする修正パッチを待たなくてはならない。いいソフトを見つけても価格を見て断念せざるを得ないことも多い。

Linuxの利点は、自由度の高さにある。ソースコードは公開されているし、それを書き換える自由も認められているから自分の好きなようにOSをカスタムでき、セキュリティホールもふさぐことができる(相当に高度なプログラミング能力が要求されるが)。これを支える開発ツールもOSに付属するしフリーで使えるIDEとしてEclipseがある。自分で使うツールをフリーのIDEで自作できるのは楽しみでもあるだろう(やはり相当に高度な能力が要求されるが)。能力さえあればLinuxは魅力的なプラットフォームだろう。デメリットは入り口の狭さとドキュメントが整備されていないこと。自分で開発する能力がない場合、公開されているAppを使うことになるが、これは(Windowsプラットフォームのように)まとまったドキュメントが用意されているということのほうが稀。有用だとされるドキュメントはほとんどが英語であり、出版されている書籍も少ない。入り口が狭いのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/05/22

余計な機能を止めてみよう。

Windowsは進化している。ある程は度直感で操作できるインターフェイスがあり、最新のOSでは直感では操作しにくい部分はウィザードを利用した対話型の操作ができる。コンピュータがユーザが行うべき操作をナビゲートしてくれるのだ。メディアをドライブにセットすればそのタイプが自動で認識され、セットアップが始まったり、あるいはWMPによる再生が行われる。セキュリティ基準を満たしていなければ警告が発せられ、ユーザに行うべき操作を示してくれる。こういった機能は初心者を大いに助けてくれる。

しかしながら、ある程度熟練したユーザであれば煩わしいだけの機能も多々ある。無効にしようにもその操作方法がなぜか(OSのヘルプには)解説されていない。たとえば、XP_SP2標準付属のICFを無効にしてサードパーティ製のFWを使っていたとする(そして、これはSCからは認識されない)。すると、OSはバルーンやら何やらで盛んに「コンピュータが危険に晒されている。セキュリティが低いぞ!」と警告してくる。認識されていないだけでFWはちゃんと設定されているのだ。余計なお世話である。

IEのセキュリティオプションについても同様のことが言える。XP_SP2, Srv2003_SP1ではデフォルトのセキュリティ設定がかなり変更され、しかもその設定をユーザの意のままに変更することがなかなかできない。先日、Srv2003_SP1をセットアップしたときもかなり苦戦したことだ。XP_SP2にいたってはWindowsUpdateサイトのActiveXプラグインまで遮断されるという話ではないか。(Srv2003_SP1では信頼済みサイトにWindowsUpdateサイトが登録されているのでこのような現象は起こらない。)この中途半端な機能は初心者にとっても害悪でしかない。ウィンドウのどこぞをクリックしてメニューを選択すれば実行できるという話だが、初心者がそのようなことに気づくだろうか?また、「害を及ぼすかもしれない」と警告されている状態で自分の望む処理を行うためのメニューの選択ができるだろうか? パワーユーザにとってもやはり害悪でしかない。パワーユーザならば自分で設定を変更して、セキュリティと利便性を考えた自分にとって最適な設定を行えるからだ。これを妨げる機能はどう考えても「余計なお世話」だ。

今回はこういった邪魔な機能を無効にしたりする方法をいくつか紹介する。
*注意*
このサイトで紹介する方法を実践することで生じたいかなる被害についても、わたしは一切の責任を負わないものとします。間違いの指摘や新たな情報の提供は歓迎いたしますが、苦情や責任の追及は一切受け付けません。操作を行う場合は全て自己責任で行ってください。 特に10進数と16進数など基数の違いに十分ご注意ください。

1.CD/DVDドライブの自動実行
XPではドライブごと、メディアごとにGUIから設定することもできるが、メディアをとっかえひっかえしながら設定するのは面倒でしかない。レジストリを編集すれば一発で全てのドライブ、全てのメディアに対する設定を行える。レジストリエディタを起動して以下のキーを開きます。

キー: HKLM\System\CureentControlSet\Services\Cdrom

右側のペインからAutorunという項目を探し、その値に0をセット。
マシンを再起動すれば設定が反映される。

2.IEの情報バーを抑制する。
Webサーフィンをしていると、「情報バーにお気づきですか?・・・」というダイアログが表示され、スクリプトの実行やファイルのDLがブロックされることがある。邪魔である。こんなものないほうがいいのだが(危険なサイトは「制限つきサイト」に事前に分類すればよいだけだ)完全に無効にする方法は発見できなかった。抑制することはできるのでその方法を紹介する。

・ActiveX コントロール
コントロールパネルのインターネットオプションを開き、セキュリティタブを選ぶ。変更したいゾーンを選択し、「レベルのカスタマイズ」ボタンを押す。表示された項目から「ActiveX コントロールに対して自動的にダイアログを表示」を探して「無効」にチェックを入れる。

・ファイルのダウンロード
ActiveXと同様にしてインターネットオプションを開いてからセキュリティタブを選択する。変更したいゾーンを選択して「レベルのカスタマイズ」ボタンを押す。表示される一覧から「ファイルのダウンロード時に自動的にダイアログを表示」を探して「無効」にチェックを入れる。

・アクティブコンテンツ
ドライバのインストールCDのAutorunや自分で書いたファイルの正常実行まで妨げる、邪魔なことこの上ない機能だ。すこしはマシにする方法を紹介する。 コントロールパネルからインターネットオプションを開き「詳細設定」タブを選択する。一覧から「マイコンピュータでの、CDのアクティブコンテンツの実行を許可する」と「マイコンピュータでの、ファイルのアクティブコンテンツの実行を許可する」にチェックを入れる。

3.マイコンピュータゾーンの設定を詳細に行う
IEのセキュリティ設定ゾーンには隠された項目があり、そのひとつにマイコンピュータゾーンがある。マイコンピュータゾーンは初期状態ではセキュリティレベル「高」に設定されている。これは制限つきサイトと同じレベルだ。このため、マイコンピュータにおける一部のファイルの操作が不便になっているのである。これを自分に適切な設定に変更すればストレスもたまらなくなる。設定を変更するためにはマイコンピュータゾーンを表示されるようにしなければならない。そのためにはレジストリを変更する。

キー: HKLM\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings\Zones\0

右側のペインから 「Flags」を探してその値を0x47(または0d71)にする。これでインターネットオプションを開いてセキュリティタブを選択すれば、ゾーン一覧にマイコンピュータが表示される。あとはこのゾーンのセキュリティを変更する。

4.セキュリティセンターを無効にする
XP_SP2のウリらしいが、自分の意思でICFや自動更新を無効にしている場合は四六時中警告が発せられるので邪魔でしかない。そもそもパワーユーザならこれらの設定は自分の意思で行えるだろう。こんな余計なものにCPUパワーを消費するならもたついているアプリに回してほしいものだ。無効にするに限る。設定は以下の順に行う。

デスクトップのマイコンピュータアイコンを右クリックして表示されるコンテキストメニューから「管理」を選ぶ。コンピュータの管理(ローカル)→サービスとアプリケーション→サービスの順に辿る。右ペインから「Security Center」を探し出しダブルクリックでプロパティを表示させる。スタートアップの種類を「無効」に変更し、サービスの状態を「停止」させる。OKボタンを押せばセキュリティセンターが無効になる。

5.不要なサービスをとめる
*不要かそうでないかは環境により大きく異なります。判断ができないならば決して変更しないでください。ネットワーク、ローカルシステムの知識と十分な情報がある方のみ変更するようにしてください。

・Application Layer Gateway Service
インターネット接続の共有、ICFを使わないならば無効にできる。PCが一台だけでファイアウォールもサードパーティー製を使っているのであれば無効にしてしまってもいいだろう。

・Automatic Update
WindowsUpdateを使用するならば必要。手動でHotfix を落としてきて適用しているならば無効にすることもできる。

・ClipBook
社内規定で必要だとされているのでなければセキュリティ向上のためにも無効にしておくことをお勧めする。

・Computer Browser
対象のマシンがLANを構築するPCの一部であるならば必要だが、自分のマシン1台しかない環境では稼動させる意味がない。マシン1台しかない環境ならば無効にできる。

・DHCP Client
DHCPでIPを配っているなら止めることはできないが、手動でIPを割り振っているシステムならば稼動させておく意味がない。リソースの無駄である。無効にしてしまおう。

・Error Reporting Service
エラーが起きたときにMicrosoft社へ報告する機能。無数にあるWindows環境で起こる全てのエラーにMSが対応するはずがない。無効にしてしまおう。

・Fast User Switching Compatibility
ユーザアカウントがひとつしか存在しないならば無効にしてしまおう。

・Help and Support
オンラインヘルプ機能を使わないのであれば無効にできる。

・IMAPI CD-Burning COM Service
XPに標準付属するCDライティング機能。サードパーティー製ライティングソフトを使っているならば無効にしてしまったほうがいい。

・Internet Connection Firewall / Internet Connection Sharing
・Windows Firewall/Internet Connection Sharing (ICS)

XPに標準付属するFW機能とインターネット接続の共有のためのサービス。 サードパーティー製FWを使っているなら前者は不要。ルータを使っているなら後者も不要。両方が不要ならば無効にしてしまうこともできる。

・NetMeeting Remote Desktop Sharing
セキュリティの観点からも無効にするべきサービス。SC DELETE で削除してもいいと思う。

・Plug and Play
ハードウェアの追加をUSBデバイスなども含めて行わないならば無効にすることもできる。HDDや光学ドライブの変更、USBやIEEE1394デバイスの使用を考えているなら有効にしておこう。

・Portable Media Serial Number
WMPを使わない、またはポータブルメディアデバイスを使用していないならば無効にできる。

・Remote Registry
必ず無効にするべきサービス。サーバ操作のために有効に・・・と反論が出るかもしれないがサーバマシンでこそ無効にするべきである。

・Routing and Remote Access
普通はルータを使ってルーティング(経路制御)するでしょう。無効にしても差し支えないと思う。

・System Restore Service
システムの復元機能のこと。必要なときに有効にして、普段は無効でいいと思う。Malwareの削除の妨げになることもあるからね。

・Task Scheduler
使うなら有効。使わないならば無効。

・TCP/IP NetBIOS Helper
マシンが1台しかないならば無効にできる。

・Themes
XP標準のデスクトップ環境であるLunaを使うならば有効。パフォーマンス優先の設定にしているならば無効にできる。

・Uninterruptible Power Supply
UPSを使っているなら必要だが、ないならば無効にできる。

・Wireless Zero Configuration
無線LAN環境にあるならば必要。しかし、このサービスが稼動していると常に接続ポイントを検索してしまうので必要なとき意外は無効にしたほうがいいと思う。

6.自動更新機能を無効にする
動作検証を行ってからHotfixを当てたい。あるいはパッチの必要性を自分で確認して適用したい、企業でエンドユーザが勝手に当ててしまうことを防止したいなどの理由で無効にしたい場面は多々ある。自動更新を無効にするためには大きく分けて2つの設定方法がある。

・関連するサービスを無効にする
前述のとおり Automatic Updates を無効にすれば自動更新はとまる。

・グループポリシーを利用する
グループポリシーエディタを起動し、ローカルコンピュータポリシー→コンピュータの構成→管理用テンプレート→Windowsコンポーネント→WindowsUpdate の順にツリーを辿る。右ペインの「[Windowsのシャットダウン]ダイアログボックスで[更新をインストールしてシャットダウン]オプションを表示しない」を有効にする。その下の「[Windowsのシャットダウン]ダイアログボックスの既定の・・・」を有効にする。

7.起動時にWindowsMessengerを実行しないようにする
XPではなぜか起動時にWindows Messengerが実行される。明示的に起動させたわけでもなく、スタートアップを有効にしたわけでもない。にもかかわらずなぜかバックグラウンドで実行される(スタートアップオプションを無効にしていてもなぜかメッセージが届く)。スケジュールが詰まっているときや、フルスクリーンでDVD鑑賞やゲームを楽しみたいとき時などメッセージを受け取りたくないときもあるだろう。明示的に実行しない限りはバックグラウンドの動作を禁止させておくこともできる。

グループポリシーエディタを起動する。ローカルコンピュータポリシー→コンピュータの構成→管理用テンプレート→Windowsコンポーネント→Windows Messenger の順にツリーを辿る。右ペインから「ログオン時にWindows Messengerを自動的に起動しない」を有効にする。

なお、グループポリシーエディタの設定は再起動するか、コマンドラインで gpupdate コマンドを実行しないと反映されない。グループポリシーエディタを使った後はコマンドラインでgpupdate を実行するようにしよう。 余分な機能を無効にすることでよりセキュリティが高まったり、起動時間が短縮されたりする。起動時間が長くてもっと短くしたいと考えているならば、勉強して挑戦してみてはいかがだろうか。参考までにFomalhautのマシンは20~30秒程度で起動する(デスクトップが表示され、操作できるようになる)。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005/05/21

表現の仕方

最初に、今回のエッセイはかなり反感を買うだろうことを述べておく。

学生時代を通じて、そして今なお疑問に思っていることがある。

それは「表現の方法」に対する日本人の考え方だ。

自分の意見を正確に伝えたいとき、どんな表現を使うべきだろうか?

実に簡単な答えだ。「率直に」そして「簡潔に」表現することだ。

自分が結論を導いた根拠を簡潔に説明し、「だからxx」だと率直に伝える。または「こういった状況を想定した場合、方法Aでは△△となり方法Bでは○○となるから方法Aを取るべきだと思う」のような表現ならば相手に誤解されることはほとんどないだろう。自分の意見を求められる場面では、自他の関係を明確にした上で論理的かつ簡潔に述べるべきなのだ。

ところが、論理性と簡潔さ、率直さは日本では重視されていない。簡潔さと率直さはむしろ欠けているといえる。わたしには全く理解できないのだが、日本では自分の意思を強く主張することが美徳とされていないようだ。それどころか「悪いこと」と評価されているように思える。日常会話だけではない、議論・会議などの発言を思い浮かべてほしい。主語のない会話がごく普通に見られるし、腹芸を使った発言まで出てくる。大学自体に読まされた論文に、非常に「迂遠な」文でかかれたものがあった(しかも英語だ)。それを見たわたしの感想は次のようなものだった。「こいつは自分の発見したことに自信がないのだろうか?それとも自分以外は理解しなくてもいいと考えているのだろうか?」

 

小説であればそれも良いだろう。小説は活字として表現された本文を読み、そして状況なり心理なりを推測しながら読む楽しみを持つものでもあるからだ。

 

「技巧を凝らした表現のほうが高度な表現じゃないか。高度な表現を使って何が悪い。むしろ使うべきだ。」と簡潔さを強調することに異を唱える方もいるかもしれない。これはわたしが実際に受けた反論だが言わせてもらえるならば

君はアホか

(汚い言葉だが、他に表現が見つからないので赦してほしい。わたしは率直に自分の考えを述べる主義なのであえて使わせてもらう。)小説は全ての読み手が同じ感想を持つものではないだろう。それと同じように遠まわしな表現やごてごてと修飾をつけた表現というのは、自分が望んだ解釈とは違う解釈をされてしまうこともあるのだ。なぜならば、そのような表現の解釈には聞き手の主観が大きく影響してしまうからね。遠回りであったり無駄に修飾された表現というのは「正確に自分の考えを相手に伝える」という目的を達成するためには非合理的なのだ。

 

わたしが「簡潔な」表現にこだわる理由はもうひとつある。実は、簡潔に表現するというのはとても難しいことで、結構悩むんだ。実際、ぐだぐだと長ったらしくご高説を垂れてくださったある人に、「結局のところは何が言いたいのでしょう。結論とその根拠を簡潔に述べてください。」といったところその人は黙ってしまった。一度だけではないよ。(この方法はなかなかに使えると思う。長ったらしいご高説が好きな人に使ってあげよう。ただ単にご高説を垂れたいと思っている輩なら大抵はだまる。この場合はその話は聞く価値がなかったということだ。一方でちゃんと応えてくれるならその方はよく考えた上での発言ということになる。真剣に向き合う必要があるだろう。)

簡潔に表現するということは、闘技場に入るために鎧を脱ぎ捨てることだ。鎧がどんなに豪華であっても中身がへろへろなら誰も(良い意味で)見てくれないし、戦いに勝つこともできないだろう。中身が鍛えてあるならば鎧がぼろぼろだろうと戦いに勝つことができるのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/05/17

WinXPでWPA2をサポートするアップデータが公開

参考:http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0505/13/news023.html
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=662bb74d-e7c1-48d6-95ee-1459234f4483

無線LANでアクセスポイントとクライアント間の通信を暗号化するWPA2を使用可能にするアップデータが公開された。ただし、WPA2による暗号化通信を行うためにはアクセスポイントも対応している必要がある。ファームウェアのアップデートで対応できる場合もあるのでベンダーのサイトをチェックしてみよう。

WPA2と合わせてSSIDの隠蔽、Macフィルタリングなどを行うことでよりセキュアな無線LAN環境の構築が行える。

今まではWPA2を利用するためにはドライバ以外に余分な機能がごちゃごちゃついた専用アプリケーションをインストールしなければいけないなど頭の痛くなるものだった。 今回のアップデートでWindowsXPがネイティブに対応したことでこういったツールが不要になる。喜ばしいことだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

改正電子メール法成立

参照: http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0505/13/news032.html

特定電子メール送信の適正化などに関する法律、
通称特定電子メール法の改正案が5/13の参院本会議で可決、成立した。

公開しているHPで連絡先としてメールアドレスを公開している場合など
スパムメールが大量に送られてきてうんざりしているユーザも多いことだろう。
また、個人情報施行以前にはアンケートサイトで入力したアドレスに
大量にスパムメールが送られてくるようになったという話も聞いた。

最近のスパムメールは送信者情報(ヘッダのFrom欄など)を偽装したものが多く
From欄の情報を用いたフィルタリングではSpam以外のメールまでが
削除の対象になってしまうのでフィルタリング規則の策定も面倒だ。

ビジネス専用メールアカウントならば本文中にキーワードが含まれているか
否かでフィルタリングを作ることもできるが、万が一、取引相手からの
メールまで削除してしまうと大変なことになる。

友達と連絡を取ることもあるアカウントではフィルタリングルールの設定はより骨が折れる作業になるだろう。

同法の成立で、クライアント/サーバ の両方にとってフィルタリングルールの策定が楽になるかもしれない。スパム送信業者はフリーアドレスを何度も変更しながらスパムを送ってくるだろうが、フリーメールアドレスのサービス提供業者がアカウント取得のための手続きをより厳格化することでスパム送信業者はより困難な状況になるだろう。願わくば、ネットワークの世界からいなくなってほしいものだ。

同法の早期の施行を切望する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/05/16

HTTの脆弱性(その2)

参照:http://www.allbsd.org/%7Ehrs/diary/200505.html#d1603 (BSDCan2005に関する記事参照)

この影響はHTTだけにとどまるものでもないらしい。

ソフトウェア的に改善することで対応できなくもないようだがやはりHTTを無効することが確実な回避方法のようだ。

先日書き忘れたのだが、WindowsXPはHTTを無効にすると再インストールが必要になる。WinXPのインストーラはインストールを行う際にシステムを自動認識してHALを切り替えるようになっているからで、HTT を無効にするとシステムタイプが変わるので HAL もそれに合わせて変更する必要があるからだ。

再インストールを行わない方法もあるにはあるが、確実に動作する保障はない。設定は次のように行う。

*警告*
いかなる事故が起こってもわたしは一切の責任を負わないものとします。間違いの指摘は歓迎しますが、苦情および責任の追及は一切受け付けません。以下の設定は、全て自己責任で行ってください。

デバイスマネージャを開きます。

[表示(V)]メニューから[デバイス(接続別)]を選択します。

コンピュータ名のすぐ下にある項目を選択しプロパティを開きます。
(下図で青く反転している部分)

dev_mng

[ドライバ]タブから[ドライバの更新(P)]を選びます。

drv_replace

[一覧または特定の・・・(S)]を選択して[次へ(N)]をクリックします。

wiz_1

[検索しないで、・・・(D)]を選択して[次へ(N)]をクリックします。

wiz_2

変更前が「 ACPI マルチプロセッサ PC」であった場合はACPI(Advanced Configration and Power Interface) PCを選択し[次へ(N)]をクリックします。
変更前が「MPS マルチプロセッサ PC」であった場合は「標準 PC 」を選択して「次へ(N)」をクリックします。

wiz_3

ドライバが更新されたら指示に従ってマシンを再起動させます。

繰り返すが、この設定を行っても動作する補償はない。
安定して動作する環境を望むのであれば再インストールをお勧めする。

この脆弱性はサーバマシンでは問題になるが、一人暮らしなどで自分ひとりでしか使わないマシンならばそれほど神経質になる必要はないように思える。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

デジカメが普及した理由

一般には、デジカメの普及は
その洗練されたデザインと携帯性、多機能性にあるといわれる。
本当にそうだろうか?現在は確かに美しいフォルムを持ち、
小型でポケットに入れても違和感を感じないほどの携帯性だ。

わたしが始めてデジカメを購入したのは4年前になるが、
当時のデジカメは大きさもデザインも銀塩カメラと大差なかったような気がする。
にもかかわらず4年前からホームユーザ、ホビーユーザの主流はデジカメに流れていった。

ということはデジカメが普及した理由は美しいフォルムと携帯性以外にもあることになる。
多くのユーザはカメラをそう買い換える機会はないだろう。
にもかかわらずデジカメへ乗り換えるユーザが増えたということは銀塩カメラと比べて
積極的にデジカメを選択する理由があったのだ。

銀塩カメラで不便に思うことのひとつは記録媒体(銀塩の場合はフィルム)の取り扱いだろう。
わざわざ本体裏の蓋を開けて内部を露出させてフィルムをセットしなければならない。このときにゴミがレンズに乗ってしまうこともあるし、うまくセットしないと再度開いてやり直しということになる。撮影が終わった後も、フィルムを全て巻き取ってから取り出す必要がある。このときに手順を間違えるとフィルムが真っ黒になってしまう。現像は、暗室を持っているような一部のユーザを除けば、専用の業者に頼まなくてはならない。そして数日を要するのだ。フィルムの撮影枚数に残りがあるにもかかわらず現像を行うと無駄が生じてしまうのも欠点だ。かといって枚数分全て撮り終えるのを待っていたら現像するのは実際に撮影した日から1年後になるかもしれない。

デジカメではこれらの欠点が改善されている。メディアにはカード型メモリを用いて、専用スロットに差し込むだけでセットアップが終わる。撮影の残り枚数も気にする必要がないし、現像という特殊な作業もないから専用の業者にお金を払って委託することも必要ない。
4年前といえばパソコンが広く普及し始め、1万円ちょっとの低価格プリンタが登場しこれも普及した時期に重なる。ユーザは撮影したその日のうちに自分の家でプリントアウトすることができるようになったのだ。

 データを PC に取り込む作業も簡単だ。 USB ストレージクラスに対応したデジカメであれば、ケーブルで PC と接続するだけで FDD を使ってデータを読み書きするのと同じように撮影した画像を操作できる。
報道関係の仕事に関わるユーザにとって、この特長はとても便利なものだ。撮影してすぐに PC に取り込み Internet を介して本社にデータを送ることができる。大量のフィルムやネガ・ポジを持ち歩く必要はなくなったんだ。

 撮影したファイルの管理も、大量のアルバムをひっくり返したり、封筒の中身を引っ張り出してポジの山に埋もれる必要がなくなった。多くの場合はデジカメに画像管理ソフトが付いているからそれを利用することで簡単に管理できる。たった1枚の写真を探すために数十分あるいは数時間かかっていた作業をわずか数秒で行えるようになったんだ。

 ドキュメントに撮影したデータを埋め込みたいときも便利だ。銀塩カメラを使っていたとき、わたしはフィルムの現像を依頼して受け取ったポジをスキャナで読み込んで、フォトレタッチしてそれからドキュメントに埋め込んでいた。 デジカメに切り替えてからは、すぐにドキュメントに埋め込める。(たまにレタッチすることもあるが) DTP との親和性が高い。

 このように、銀塩カメラで不便だった部分がデジカメでは改善され、さらに便利な機能も付加されている。(最近のデジカメはオートフォーカスやホワイトバランスだけでなく 撮影モードの切り替えまで自動で行ってくれるようだ)

 より多くのユーザの要望を満たしたことがデジカメが普及した理由だろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/05/14

HTTに深刻な脆弱性

HTTに深刻な脆弱性

参考:http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0505/14/news009.html

http://www.daemonology.net/hyperthreading-considered-harmful/

非公開鍵を盗みだせるっておいおい・・・(;´Д`)

かなり危険な問題のようだ。
同氏のサイトの該当ページ"Hyper=Threading Considered Harmful"の和訳をしてみた。
ただし、わたしは英語力がかなり低いので誤訳も多分にあると思われる。
英語ページもあわせて読むことをお勧めする。
記事に誤訳や技術上の誤りがあれば、指摘していただけると幸いです。

--------------------------------------------------------------------------

Hyper-Threading Considered Harmful
Intel社のPentiumエキストリームエディション、Pentium4、モバイル版Pentium4、そしてXeonプロセッサーに実装されているハイパースレッディングは深刻な安全面の欠点を持っている。(訳注:Pentium4のごく初期のモデルにはハイパースレッディングが実装されていないものもあります)この欠点はローカル情報の流出を可能にしてしまう。たとえば正式な権限を持たないユーザが同じマシンを共有することでRSAの非公開鍵を盗み出すことが可能だ。マルチユーザ環境の管理者には直ちにハイパースレッディング無効にすることを強く勧める。シングルユーザ環境では影響はない。

わたしはBSDCan 2005 でこの欠陥をどのように悪用するのかという詳細を示した。
(BSDCan2005:http://www.bsdcan.org/2005/)BSDCan2005に出席できなかった人のためにわたしは12ページの論文を書いた。この論文でわたしは成立しそうな問題と理論的な問題の両方について述べている。

Vendor Statements
ベンダーからは以下のコメントが寄せられた。

FreeBSD:
FreeBSD/i386, FreeBSD/amd64に影響がある。
この問題はFreeBSD-SA-05:09.httで取り組んでいる。

NetBSD:
セキュリティオフィサーチームは大多数のユーザにとっては回避策が適していると信じている。
この問題が複雑なので、より大きな議論により「正しい」解決方法が要求されている。
この問題はNetBSD-SA2005-001で取り組んでいる。
NetBSD-SA2005-001に回避策のリストが提供されている。
最終的な結論が出るまではこれを使ってほしい。

OpenBSD:
OpenBSDは直接的にはハイパースレッディングをサポートしていない。
したがってパッチの予定はない。
影響のあるユーザはBIOSでハイパースレッディングを無効にしてほしい。
ハイパースレッディングをサポートするようになってから再びこの問題に取り組むだろう。

SCO :
アップデートパックが適用されていたりSMPがインストールされているならば
OpenServer5.0.7に影響がある。また、UnixWare7.1.4と7.1.3にも影響があるが、
デフォルトではハイパースレッディングは無効になっている。
これはSCOSA-2005.24で取り組んでいる。

(他のベンダーでも影響はあるが、コメントは提供されていない。)

Update: eWeek storyでIntelからのコメントがあった。
(eWeek story: http://www.eweek.com/article2/0,1759,1815954,00.asp)

Q&A
1. 自宅のマシンについても心配しないといけないの?
→恐らく心配しなくてもいいだろう。
  このセキュリティの欠点は主にサーバーについてのものだ。

2.Apple社のコンピュータを持っているんだけど、この問題を心配しないとダメ?
→わたしが知る限り、この欠点はIntelのプロセッサにのみ存在する
(もちろん、わたしはそれほど多くのAppleコンピュータが使っているCPUを知っているわけではない。
  誰かが似たような攻撃を構成することが可能であるかもしれない)

3.わたしのベンダーはこの問題について言及していない。どうすればいいの?
→いくつかのベンダーはわたしに対してはコメントを提供していない。
 たぶん修正に忙しすぎるのか、これらの発表を禁じる会社の方針のためだろう。
 どちらにしてもわたしはコメントを提供されていない。
 あなたは後でもう一度連絡を取ったほうがいいだろう

4.どこで働いているの?
→無職だ。3ヶ月間にわたってわたしが持てる時間のほとんどをこの問題に費やした。
 たとえばどれくらい深刻なのかを調べたり、影響がある全てのベンダーに連絡を取ったり
 どうやって修正するべきかを説明したり、他にもいろんなことをしていたんだ。
 単純に外に出たり仕事に付く時間がなかったんだよ。
 この問題が報告されること、そして修正されることはいくらかのお金をもらうよりずっと重要だと確信したんだ。

5.他人のコンピュータのセキュリティを改善するために収入のない仕事に3ヶ月も費やしたことはすごいと思う。
どうやってその努力に報いたらいいんだい?
→お金がいいね。冗談抜きで。時間をかけたいセキュリティの問題がごろごろ転がっているが
 お金が入ってこないと他の仕事に付かないといけない。
 わたしがこの仕事を続けるために出資を申し出てくれるならば、連絡をほしい。

6.どうしてそんなにIntelを毛嫌いするんだい?
→毛嫌いしているわけじゃないよ。
 わたしはIntelは偉大なCPUを創っていると思うし、
 わたしが所有しているどのコンピュータにもIntelのCPUが乗っている。
 *()内和訳不可
 しかしコンピュータセキュリティという分野で働くときは、わたしは政治ゲームはしない。
 もし脆弱性を見つけたなら、それが何の問題だとか誰に影響があるかとは関係なく
 わたしはそれを報告し、ベンダーと修正するだろう。

7.リストにない質問があるんだけど
→遠慮なく連絡をしてほしい。
 全ての人に返答できるかは保障しないけど受け取った真剣な質問は解決するように努力するよ。

*Discloser Timelineは省略します。

--------------------------------------------------------------------------

いまのところ、回避策はBIOSの設定によりHTTそのものを無効にするしかないようだ。
影響が考えられるシステムを使っているなら急いで対応しよう。
BIOSの設定はメーカーやマザーボードごとに違うので一律この方法とはいえない。
ここではIntel D875PBZ の設定方法を紹介する。

*Warning*
BIOSの設定を誤るとコンピュータに深刻なダメージを与える可能性があります。
何を意味しているのか判別できない項目の操作はしないでください。
また、BIOSの設定の操作によりいかなる被害が起こったとしても
わたしは一切の責任を追わないものとします。
操作をするときは自己責任でお願いします。

BIOSの設定はWindowsからは行えないので、電源を切ります。
電源スイッチを押したら[F2]キーを押しっぱなしにします。
Mainメニューを選択します。
十字キーで"Hyper-Threading Technology"まで移動して[Enter]を押します。
十字キーで"Disable"を選択して[Enter]を押します。
[F10]を押して表示されるダイアログに[Y]キーを押してコンピュータを再起動します。
これでHTTが無効になります。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

McAfee 更新ファイルのテスト体制を公開

参考:http://www.mcafeesecurity.com/japan/announcement/050425.asp

これについていくつかのサイトは売名行為だとか
他社を蹴落とすために行った汚い行為などと揶揄している。
しかし、本当に非難されるような行為なのだろうか?
確かに「売り上げを上げる」という目的もあるだろうが、
わたしには他にも目的があるように思える。

594事件が起きた後、わたしは幾人かのユーザから
「自動更新機能を全て無効にしてほしい」と相談を受けた。
彼らのほとんどは「Cドライブを開いて」といえば
「Cドライブって何?何のプログラム?」と逆に質問してきたり
「WindowsUpdateをしてね」といえば「WindowsUpdateってなに?どうやるの?」
と質問を返してくるようなちょっと頭が痛くなるようなレベルのユーザである。
(表現が悪いかもしれないが、本当に頭が痛くなることがあるのだ。
ゲームなどは修正ファイルを直接InsDirにコピーしなければならないものがあるが、
そのときの説明を「ドライブ」とか「インストールフォルダ」という言葉を使わずに
行わなければいけない状況を想像してみてほしい。頭が痛くなるに違いない。)
付け加えると、その中にはウィルスバスターのユーザだけでなくNortonのユーザもいた。

さて、彼らのマシンの自動更新機能をアンチウィルスソフトから
WindowsUpdateまで全て停止してしまったらどうなるだろう?
スタートメニューに登録されているWindowsUpdateの存在すらわからないユーザである。
Microsoftのサイトから自分のマシンに必要な修正パッチを手動でDLできるとは思えないし
アンチウィルスソフトのワクチンの更新も同様に手動では行えないだろう。
となると彼らはセキュリティホールはそのままで、
さらにワクチンは古いままのマシンを使い続けるわけだ。

そんなマシンがどうなるかは、ちょっとのネットワークの知識と
ちょっとのセキュリティの知識があるならば簡単に想像できるに違いない。

Malwareの被害は本人だけにはとどまらない。
彼らのアドレス帳に載っているユーザも被害を受けるだろうし
そうでない不特定多数のユーザにまで被害をもたらすかもしれない。
また、大量のパケットをばら撒くことによるトラフィックの異常な増加は
ネットワークに障害をもたらすことも考えられる。

自分でセキュリティ対策をとれないならば、
多少のリスクがあれど自動更新機能を使い続けてもらいたいのだ。
そのためには彼らが自動更新を止めたいと思った原因を取り除くことが必要だ。
彼らが自動更新を止めたいと思った原因。それは594事件が大きいだろう。
(いくぶんわたしが4/30に書いたこともあるかもしれないが)
594事件はトレンドマイクロ社の開発体制の不備が招いた結果だ。
「もしかしたら、他のベンダーのソフトも同じなのではないか」
と考えるユーザも少なからずいただろう。

McAfeeの今回のテスト体制の公開はこうした不安を払拭することが本当の狙いではないだろうか。
「わたしたちの作っているソフトはこのように慎重にテストを行っています。
  ですから安心して自動更新機能を利用してください。」
これがMcAfeeが本当に伝えたいことだったのでないだろうか?
わたしはそう考えている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/05/12

知的財産の保護と過保護

「知的財産保護」所謂「著作権」だ。
いくつかの企業はこれを盾に知的生産活動を
阻害するような法律の策定を求めている。

わたしは著作権にかかわるシステム全てが悪い
といっているわけではない。
著作権そのものは認めている。
自分が書いた小説を盗作され、
それがベストセラーになって盗作者が利益を得たら
やはりそれは不当な利益だというだろう。
著作者には守られるべき権利があり利益がある。

しかし、一部で主張される法律はいき過ぎだと思うのだ。
個人で楽しむための音楽データのEncodingですら
Redbookに違反するフォーマットを利用してまで禁止する。
動画も同じだ。不要な信号を付属したり暗号化をかけて
正当に購入したユーザですら不便に感じるまでに規制する。

ソフトウェアに関しても同様だ。
ソフトがどうやって動いているのか、データがどう流れるのか
そういったことを解析しようとすることすら禁じるまでになっている。

なぜこれらがいき過ぎだと思うのか。
それは技術の発展と関係がある。
「わたしがより遠くまで見通すことができたのだとしたら、
  それは巨人の肩に乗っていたからだ」
これはニュートンの有名な言葉だが、
先人達の遺した知的遺産があるからこそ、
新しい知識や技術を生み出せるということをあらわしている。

ソフトウェアの挙動やデータフローを解析することで、
こうしたらよりよいソフトになるだろうといったことや
これは別の処理に使っても効率があげられるのではないか
このアルゴリズムを使えば処理速度が上がるはずだ
といった新しいアイディアが生まれるかもしれない。
新しいアルゴリズムを考え付くかもしれない。
それによって技術が進化する可能性があるが
これらの知的生産行為すら違法と判定してしまうとしたら
技術の発展を妨げることにならないだろうか?
技術の発展を妨げる法律に存在する意義はあるのだろうか?

PaulGrahamも言っている。
「現在の技術を学び、それを改善してゆく方法を考えることができないとしたら
どうやって新しい技術を開発できるだろう。」

いまある技術も素晴らしいが、
より素晴らしい技術が誕生することは喜ぶべきことだ。
厳しい規制を主張する人々は目先の利益だけを見ていないだろうか?
少し距離を置いてそれは本当に規制するべきことなのか考えてほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2005年4月 | トップページ | 2005年6月 »