マスコミと世論
どうも日本の報道機関は国民が自浄能力を持ってしまうことを過度に恐れているように思える。思えば日本の報道機関は「特権階級」として存在している。マスコミが「悪」といったものは、真実そうでないものでも「悪」になってしまう。 TVでどこそこの教授が「**は悪影響がある」と発言すれば、対象はマイナスのイメージをもたれてしまうことは否定できない現実であろう。一部を除けばマスコミの下した評価に疑問を持つ人は少ない。
なぜ自浄能力を持つことを恐れるのか?
それはマスコミが持つ世論操作能力が脅かされるからだ。
それはダン・ラザー事件に見ることができる。 2004年の米国の大統領選挙で、CBSニュース「60ミニッツ」のキャスターダン・ラザー氏が「ブッシュ氏軍歴に疑惑あり」と報道したのだ。このときに証拠として流されたメモのフォントに目をつけたBlogerがいた。他にもアライメントなどメモの矛盾を次々に指摘。そして、Web上で情報が交換され24時間後には証拠は捏造であると確定されたのだ。
これに対してCBSは疑惑を否認。Blogerを見下す発言をするなどして話の流れを変えようとした。しかし、CBSに続いてブッシュ氏のスキャンダル(?)を報じたほかの報道機関はBlogerの発言に目を向けた。他の報道機関でも調査が行われ、結果、疑惑は捏造であるとされたのだ。その後CBSから謝罪があったと記憶している。
詳細: http://en.wikipedia.org/wiki/Killian_memos
わたしは「ブログという存在がメディアの世界で無視できない存在になっている」ということを言いたいのではない。もちろんこれも事実であるが、今のところ日本では当てはまらないだろう。わたしが注目したのは、報道による不正な世論操作が見事阻止されたことだ。それも、情報の受け手が検証することでである。受け取った情報をユーザが検証し、不正であるならばそれを正す。これこそが「自浄能力」で、海外では既に発達しつつある。
しかしながら、日本では芽すら出ていない。
報道機関が頑なに自浄能力の芽生えを阻止しているからだ。
ダン・ラザー事件も日本で報道されたが、訂正し謝罪されるようなことはなかった。
少し前に騒がれた「ゲーム脳」も全く正しくない根拠を並べただけのトンデモ説(つまりは間違いだ)であり、ネットでは論理的に否定されたもののマスコミは訂正しなかった。それどころかいまだに「ゲームの悪影響」と叫んでいる。
法律策定についてもだ。直前まで情報を流さず(本当は成立するまで流したくないのだろうが)成立してから「こういう法律ができました」と報道する始末。
Internetでは議論が交わされているものの、これに対しては「ネットは悪」のレッテルを貼り付けてネットの情報は正しくないのだと信じ込ませようとしている。
日本の報道機関は自らの特権階級を守りたいだけに違いない。情報の受け手でしかないはずの国民に監視されるというのが我慢ならないのだろう。そして、世論は自分たちが作るのだという幻想を守りたいだけなのだ。
わたしは、日本も自浄能力に目覚めるべきだと思う。情報の受け手はその真偽を問うことで高度情報化社会を生きるための情報の取捨選択能力も自然と高まる。そして、社会が間違った方向へ進むことを防げるし、国が進むべき方向を真に国民の意思で決めることができるようになるだろう。報道機関はその邪魔をするべきではないのだ。
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コメント
こんにちは。は~とnoエース です。
私としては、国民も「自浄能力」を意識するまで昇華して欲しいところですが、それ以前にマスコミ自体が腐りきった「性根」を改める「自浄能力」に目覚めて頂きたいところ。
成熟したメディアは、どうしても「商業主義」に陥りやすく、都合の良い?もしくは『ウケの良い「正義」に置き換えられやすい』傾向が出がち、それを監視し許さない新たなるメディア?としての「ブログ」の成長を是非とも期待しております。
投稿: は~とnoエース | 2005/06/11 13時06分
返信遅くなりましてすみません>x<;
わたしとしても、情報機関そのものに自浄能力を持ってほしいと思っています。しかしながら、仰るように日本の報道機関は商業主義に陥っています。つまり、どこも自分たちにとって都合のいい世論を作ることを第一に考えて報道を行っているのが現実でしょう。都合の悪いことは早めに「悪」とでっち上げて叩き潰す習慣が出来上がっており、報道機関が自分自身で立ち直るのはもはや不可能だと思います。
やはりわたしたち情報の受け手が、受け取った情報を監視して不正があればそれを指摘するようになることが第一歩だと思います。不正な情報を流せば叩かれるとマスコミに認識させるのです。
情報監視の場としてのBlog、議論の場としてのBlogが育つことを願ってやみません。
投稿: Folamhaut | 2005/06/14 23時11分