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2006/06/28

[ science ] ラット脳細胞におけるパーキンソン病の回復

パーキンソン病はドーパミンを分泌する細胞が死んでしまい、脳内のドーパミンが不足。 アセチルコリンの相対的増加により引き起こされる。症状としては筋強剛、緩慢な動作、 静止時の手の振るえ、脳の萎縮などがある。

これまでの研究で、死んでしまう細胞はドーパミンを生産する細胞が多いこと。 残存神経細胞にはα-シヌクレインというタンパク質が過剰に蓄積されていることが 明らかになっている。

現在のパーキンソン病の主な治療方法はドーパミンおよびその前駆体の投与である。 しかしドーパミンを外部から投与することにより、患者自身のドーパミン生産能が さらに低下してしまうなどの問題が指摘されており、より根本的な治療法の開発が 望まれている。

マサチューセッツ州キャンブリッジにあるホワイトヘッド医療研究所の Susan Lindquist とその同僚らはα-シクレインが細胞死に関係していると考え、 α-シクレインがどのように細胞死を引き起こすのかを調べた。

Lindquistらが行った実験の結果、α-シクレインは小胞体とゴルジ体間の タンパク質輸送システムを阻害することが判明した。たとえば、酵母では 小胞体とゴルジ体間のタンパク質輸送には Ypt1p という物質が関与するが α-シクレインはこれを阻害する。

タンパク質輸送系が破壊されると細胞内にどんどんドーパミンが蓄積していく。 ドーパミンは非常に化学反応性が高い物質だ。 このため望ましくない化学反応が起きてしまい細胞が死んでしまうという。

Ypt1p と同じはたらきを持つ分子を薬として投与することで、 脳の萎縮を食い止められるかもしれない。Lindquist らは薬が実現するまでの 道のりは遠いし、他にいい方法があるかもしれないといっているが、 今行える最善の治療のために新薬を開発するのもいいんじゃないだろうか? いまでも脳が破壊される恐怖に苦しむ人が大勢いるのだから。

Reference
Parkinson’s traits reversed in rat brain cells
( NewScientist.com news service, Roxanne Khamsi, 2006/06/23 )

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