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2006/06/28

[ science ] ラット脳細胞におけるパーキンソン病の回復

パーキンソン病はドーパミンを分泌する細胞が死んでしまい、脳内のドーパミンが不足。 アセチルコリンの相対的増加により引き起こされる。症状としては筋強剛、緩慢な動作、 静止時の手の振るえ、脳の萎縮などがある。

これまでの研究で、死んでしまう細胞はドーパミンを生産する細胞が多いこと。 残存神経細胞にはα-シヌクレインというタンパク質が過剰に蓄積されていることが 明らかになっている。

現在のパーキンソン病の主な治療方法はドーパミンおよびその前駆体の投与である。 しかしドーパミンを外部から投与することにより、患者自身のドーパミン生産能が さらに低下してしまうなどの問題が指摘されており、より根本的な治療法の開発が 望まれている。

マサチューセッツ州キャンブリッジにあるホワイトヘッド医療研究所の Susan Lindquist とその同僚らはα-シクレインが細胞死に関係していると考え、 α-シクレインがどのように細胞死を引き起こすのかを調べた。

Lindquistらが行った実験の結果、α-シクレインは小胞体とゴルジ体間の タンパク質輸送システムを阻害することが判明した。たとえば、酵母では 小胞体とゴルジ体間のタンパク質輸送には Ypt1p という物質が関与するが α-シクレインはこれを阻害する。

タンパク質輸送系が破壊されると細胞内にどんどんドーパミンが蓄積していく。 ドーパミンは非常に化学反応性が高い物質だ。 このため望ましくない化学反応が起きてしまい細胞が死んでしまうという。

Ypt1p と同じはたらきを持つ分子を薬として投与することで、 脳の萎縮を食い止められるかもしれない。Lindquist らは薬が実現するまでの 道のりは遠いし、他にいい方法があるかもしれないといっているが、 今行える最善の治療のために新薬を開発するのもいいんじゃないだろうか? いまでも脳が破壊される恐怖に苦しむ人が大勢いるのだから。

Reference
Parkinson’s traits reversed in rat brain cells
( NewScientist.com news service, Roxanne Khamsi, 2006/06/23 )

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2006/06/25

[ science ] ドードーの全身骨格が発見される

ロンドン自然歴史博物館の Julian Hume 博士らが所属する研究チームが モーリシャス島でドードーの全身骨格を発見した。 どのようにして絶滅したのかという謎を探る糸口になるかもしれないという。

その研究チームは、昨年いくつものドードーの骨を発見しているが 今回の発見はより「重要な意味を持つ」という。 これまでにもドードーの骨は発見されていたがそれは部分的なものだったし、 オックスフォードにあった唯一の剥製は保存状態の悪さから1755年に焼却処分されてしまっていたからだ。

Hume 博士らは、同じ発掘地域からはドードーの骨格が複数と、 ドードーとほぼ同時期に絶滅してしまったモーリシャス大ガメや、 既にそこには生えていない植物の種も発見したという。

今回発見されたドードーの骨は、少なくとも2000年は前のものだと考えられ、嘴と雛のものも発見された。

ドードーはずんぐりした体形で、羽は退化しており空を飛ぶことはできず歩行も早くはなかったという。 植物食性で、地面に直接巣を作ったという記録が残されている。 しかし、1505年に発見されて絶滅したのが1681年と、発見されてから短期間で絶滅してしまったためか 詳細な生態調査は行われておらず、ドードーの生態には謎が多い。今回の発見はドードーの生態解明に繋がるだろうか?

Reference
Dodo skeleton find in Mauritius
( BBC News, 2006/06/24 )

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[ science ] 鳥インフルエンザ、人から人への感染を確認

WHO の研究で H5N1 型インフルエンザウィルス、いわゆる鳥インフルエンザに感染して死亡したあるインドネシア人の男性は、10歳になる息子から伝染していたことがわかった。今回の発見が、鳥インフルエンザウィルスが人から人へと感染した最初の事例となる。

WHO はこの少年に感染したウィルスがわずかに変異を起こしていることも発見した。とはいえ急速に感染を広めるようなことはないと予想されているのが不幸中の幸いか。

今回の変異でもっとも重要で驚異的なことは、「人から人へ伝染する」ようになったことだろう。 いままでは、人から人へ伝染することがめったになかったため、鳥と非常に近いところで暮らしているわずかな人間にしか感染しなかった。しかし、今回検出されたウィルス株と同じ形質を持ったウィルスが野鳥に感染していた場合は、感染地域がより広範囲になることが予想される。人から人へ感染するのだから、渡り鳥に接触することがほとんどない都市部で暮らす人間にも鳥インフルエンザが感染する可能性がある。

人口密度が高い都市部で感染者が出れば、そこから大流行する可能性も否定できない。H5N1型インフルエンザウィルスはインフルエンザの中では致死率が高いため、そうなった場合の被害も小さくないのではないだろうか?被害を少なくするためにも予防接種を推奨するなどの対策が政府に求められる。

Reference
Human-to-Human Infection by Bird Flu Virus Is Confirmed
( The New York Times, Elisabeth Rosenthal, 2006/06/24 )

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2006/06/24

[ sysadmin] 起動しない XP を高速で復旧する方法

OS が吹っ飛んでしまうと、大抵は元の環境に復旧するまでに1日かそれ以上を費やすことになってしまう。しかし、Fred Langa 氏によるともっと短時間で復旧させる方法があるという。その方法が personaltechpipeline.com に掲載されたので翻訳してみました。

ここで紹介する方法は、メーカー製 PC によく付属してくる "リカバリ CD " では実行できません。 必ず、Windows の "セットアップ CD " を用意してください。

Windows XP の リビルド/リペア オプションにはとても強力なものがあるんだけど、それはわかりにくいところに隠されていて、さらにそれを使うにはちょっと混乱してしまうようなインターフェイスに触らなきゃならない。リスクはあるけど挑戦してみる価値は十分にある。 XP を完全に修復して綺麗な状態にできるんだ。既存のソフトを再インストールする必要もないし、アカウントに関する設定だって残ったままだなんだ。

わたしたちはリカバリコンソールの制限を解除してより多くの障害から復帰できるようにしたりとか、起動を妨げる多くの障害を修復する "Rebuild" 系のコマンド ( これはあまり知られていない ) の使い方とかを解説してきた。これらはOS に障害が起こったときにまず最初に試すような方法だ。

しかし、リカバリコンソールをつかった復旧作業で回復できないとなると、クリーンインストールも視野に入れなきゃならない。あー、待って待って!その前に、まずはこれから説明する方法を試してほしいんだ。

手抜き再インストール (訳注: 原文は "The no-reformat reinstall" ) を始める前に Windows XP のセットアップ CD を用意してほしい。できれば、サービスパックとか hot fix を統合したイメージを基に作成したブータブルCD がいいな。CD が用意できたら、それを使って PC を起動しよう。そして 画面1 が表示されたら、何でもいいからキーを1回押してほしい。

画面1 画面1
手抜き再インストールの第一歩。
まずはセットアップCD から起動

セットアップ CD を読みにいく前に、HDD を使って起動してしまう場合は BIOS の起動順位の設定を変更する必要がある。これは使用しているマザーボードごとにいくらかの違いがあるので、マニュアルを読むかこの辺を参考にして各自で設定してほしい。

セットアップ CD から起動できたなら画面2 を見ることができるはずだ。

画面2 画面2
CD ブートが成功すると、自動的に画面に "Setup is inspecting your computer's hardware..." というメッセージが表示されるはずだ。

少し待てば、画面3のような、背景が青くなった ( 一部の人にはお馴染みの ) Windows セットアップの開始画面が見れるはずだ。この段階ではまだ HDD のデータは何も変更されていないから心配しなくていいよ。

画面3 画面3
この画面では「セットアップを開始した」様なことが書かれているけど、これは大げさだ。 この段階ではただ単にセットアップが始まったに過ぎない。HDD のデータは何も変更されてない。

画面3の後しばらくすると「セットアップへようこそ」画面が表示される ( 画面4 )。

画面4 画面4
セットアップへようこそ画面。ちょいとばかし言葉少なめ。 この画面に書かれている修復オプションは目的のものじゃないんだ。 ずるいことに隠しオプションがあるんだ。

この言葉少なめな画面が多くのユーザを間違った道に誘ってきた。ここにも修復オプションがあるけれど、これは手抜きインストールのためのものじゃない。ここに明示されているオプションはわたしたちが探しているものじゃないんだ。( 念のために書いておくと、リカバリコンソールを使った修復はちょっとした問題の解決には役に立つものだ。こことかここで解説したように。)

わたしたちが本当に捜し求めているオプションは「Windows XP のセットアップを開始するには Enter キーを押してください」のすぐ下に隠されている。

Windows をまっさらな状態からインストールするのと同じように、まずは Enter キーを押すんだ。

次に表示されるのは使用承諾許可証の画面だ。こりゃまっさらな HDD に XP をセットアップするときに表示される画面じゃないかって?不安になるかもしれないけど、正しい操作手順なのでそのまま進んでほしい。手抜きセットアップの多くの画面は、フルセットアップの画面を間借りしたものなんだ。F8 キーを押して次に進もう。

画面5 画面5
ライセンス確認画面には修復作業か0からインストールするのかを示唆する記述はどこにもない。この画面が表示されても正しい手順を行っているので心配しないでほしい。

次の画面では、「既にインストールされている Windows の検索」が行われる。ここでセットアップを取り消すこともできる。さて、わたしたちの場合は既存の Windows を置き換えるのではなく、修復したいのだ。-- これまた言葉足らずな画面だね。

画面6 画面6
目的は今入っているものと同じ Windows を修復することだ。しかし画面の説明が足りないために古い Windows のアップグレードか新規インストールしかできないように思える。しかし、頭の足りない言い回しにだまされないでほしい。この画面が表示されても、まだ正しい手順を行っているのだ。

「既にインストールされている Windows の検索」が終わると、ついに通常のセットアップとは違う画面が表示される。この画面はわたしたちの目的の手抜きセットアップに特有のものだ。画面7 のようにセットアッププログラムは障害が起きている Windows XP を見つけて修復することを提案してくれるのだ。

画面7 画面7
ここにきてようやく目的の修復オプションが表示される。セットアッププログラムは障害が起きた XP を見つけて修復を提案してくれる。あとは修復のために R キーを押せばいい。

リストボックスにある XP が選択されていない場合は、十字キーを利用して選択する。選択すると文字の背景が反転する。その状態で R キーを押すと修復が始まる。

修復の過程で、Windows フォルダとそのサブフォルダからシステムファイルが選択的に削除されて、セットアップ CD から正常なファイルが適切な場所にコピーされる。

画像8 画面8
修復作業では壊れている可能性のあるシステムファイルがセットアップ CD の正常なファイルで置き換えられる。

次に修復プログラムはレジストリを処理する。正常な部分はそのまま残されてそうでない部分は再構築される。

画面9 画面9
特筆するようなことはないんだけど、この処理があるからこそ手抜きセットアップが「使える」ものになる。修復プログラムがなるべくレジストリに記録されていることを保存しておこうとするからこそ既にインストールされているソフトやハードを再インストールする必要がなくなるんだ。

終わったらシステムを再起動させる必要がある。ほうっておいても自動的に再起動するけど、その前にセットアップ CD から起動しないようにドライブからディスクを取り出しておこう。

画面10 画面10
正常なシステムファイルが復元されて、レジストリの再構築の準備ができたらシステムを再起動させる必要がある。またセットアップ CD から起動してしまわないように、ドライブから CD を取り出しておこう。

最初の再起動は、通常の再起動よりも時間がかかるし、セットアップが続くように見えるけど驚かないように。もう一度いうけど、クリーンインストールによく似ているだけなんだ。

修復セットアップのはじめに「地域と言語のオプション」と「プロダクトキー」の入力を求められるから普通のセットアップと同じように入力して次へ進もう。

画面11
再起動後も修復は続く。一見するとクリーンインストールを行っているように見えるけど心配しなくても大丈夫。ちゃんと修復が行われているはずだから。

修復を進めていくなかで表示される画面はクリーンインストールのときの画面とそっくりだ。でもご安心を。修復はちゃんと進んでいるし、それぞれのステップにかかる時間はフルインストールのときと比べてかなり短くなっているはずだ。

画面13 画面13
修復のときのセットアップ画面ではいくつかのステップがスキップされたり、より短時間で完了する。これはそれぞれのステップで必要になる情報が既に存在しているからだ。たとえば、「周辺機器のインストール」と「ネットワークの設定」はクリーンインストールのときに比べて入力する情報が少なく、また時間も大幅に短くなっている。

表示されているセットアップ画面では、修復が行われていて各ステップにかかる時間は通常のセットアップよりも大幅に短いという事実が反映されていないだけなのだ。

画面14 画面14
「周辺機器のインストール」と同じように「ネットワークのインストール」も短時間で完了する。既にインストールされている情報を利用してそれぞれのステップを進めていくからだ。実際に必要となる時間はプログレスバーに表示される見積もり時間よりも大幅に短いのだ。

「Windows をインストールしています」の過程が終わると、次は「インストールの最終処理を行っています」の画面に移る ( 画面15 )。

画面15 画面15
「インストールの最終処理を行っています」の画面。このもっとも長く表示される画面が終われば修復作業も終わったことになる。

処理が終わると PC はまた再起動する。このときの再起動も通常よりも長い時間がかかるけど何も問題はない。それが普通なのだ。

画面16 画面16
ここまでの一連の修復作業が終わった後に、もう一度再起動しなきゃならない。 このときの再起動は、通常の再起動に比べて時間がかかるけど何か問題が起きたとかじゃないから心配はいらない。

再起動すると、簡単な「ようこそ」ページが表示されるよ ( 画面17 )。

画面17 画面17
長々と続いた作業もあと少し。ここからの画面もクリーンインストールの画面と共通したものが多い。

ネットワークの接続設定と、ユーザー登録だとかアクティベーションの手続きが終わると「設定が完了しました」ページが表示される。

*訳注: この段階ですぐにアクティベーション手続きを行うのではなく、作業を全て終えてからアプリが起動することを確認してからアクティベーションを行うことを推奨します。

2014-02-17 追記
「アクティベーションは不要だった」との情報をいただきました。
アクティベーションを求められなかった場合は、気にせずに次のステップへ進んでください。

画面18 画面18
これが作業の最終ステップになる。かなり短い時間で終わるんじゃないかな。作業が終わると「設定が完了しました」ページが表示されるよ。

大抵はここでまた再起動をしなきゃならない。それで修復作業工程が全部終わることになる。再起動が終われば通常のログイン画面に移行するはずだ。

画面19 画面19
この再起動が終われば、あなたの Windows XP はクリーンインストールをしたのと同じくらいフレッシュな状態になっているはずだ。しかし、以前にインストールしたソフトやハード、ユーザ設定は ( データに異常が出ていなければ ) そのまま残っている。

全てが計画通りに行われていれば、ユーザ設定やハードウェア設定は以前のまま残っており、ソフトも同じくインストールと設定がされた状態で存在していることに気付くでしょう。

筆者の以前のエントリも読んでいれば、比較的簡単なレジストリクリーニングSafeModeを使った修正からやや難しい回復コンソールを使った復旧作業 ( その1, その2 ) に加えて、今回の手抜き再インストール方法がアナタの修正方法リストに加わったことになるね。

この方法を知っていれば、よほどのことがない限りは、時間も手間もかかるクリーンインストールをする必要はなくなると思うよ。

Reference
XP's No-Reformat, Nondestructive Total-Rebuild Option
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2006/06/19 )
The OS Inside The OS
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2006/04/30 )
XP's Little-Known 'Rebuild' Command
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2006/04/17 )
How To Save An Hour ( or More ) On XP Installs
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2004/09/20 )

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2006/06/23

[ Python ] Space と Tab の変換

Python Cookbook のレシピにあるコードは Space が1つあると 全て Tab に置き換えてしまう。おまけに「いくつ SP が並んでいたら Tab に置き換えるのか」といったことも設定できないなど不便なので 改良してみました。


import re
import string

def SPtoTab( targ_str, space_length = 4, tablen = 4 ):
    # sprit targ_str into alternating space and non-space sequences.
    str_list = re.split( r"( {"+str(space_length)+r",})" , targ_str.expandtabs( tablen ) )
    
    # keep track of the total length of the string so far
    len_so_far = 0
    
    for i, piece in enumerate( str_list ):
        this_length = len( piece )
        len_so_far += this_length
        
        if piece == '\n':
            str_list[ i ] = '\n'
        
        elif piece.isspace() :
            # turn each 4 spaces sequences into tab
            numblanks = len_so_far % tablen
            numtabs   = ( this_length - numblanks + tablen -1 ) / tablen
            str_list[ i ] = ( '\t' * numtabs + ' ' * numblanks )
    
    return ''.join( str_list )

ファイルはこちら ( tgz形式 )

普段コードを書くときはインデントに Tab を使っているんだけど、スペースでインデントされているコードもあって、そういうのを利用してコードを起こすときとか違和感がすごいんだよね(-_-;)

そんなときSpace を Tab に変換するときに便利かも?
ファイルの読み込みと書き出しも付けた方がいいかな・・・
う~~~ん( ´・ω・`)

2006.06.24 追記 コードのバグを修正。
SPtoTab.py にファイル I/O 機能を追加。

逆に、Tab を Space に置換するスクリプトも作成しました。
こっちの方が使用頻度は高いかも?
こちら( tgz 形式 )

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2006/06/22

[ Python ] Python 2.5 beta1 released

Python2.5 beta1 が予定より遅れて、昨日公開されました。
リリース情報はこちら

Windows なら MSI ファイルをダウンロードして実行すれば セットアップウィザードが起動しますのでその指示に従えば セットアップは完了します。ただし、プロセッサごとに インストールパッケージが分かれていますのでご注意を。

インストールパッケージ
32bit Windows ( MD5:5155c607aa51df97d8d4200ebc68601d )
IA64 Windows ( MD5:89495a0e1a03f81c4f232bd927ad0f15 )
AMD64 Windows ( MD5:f1134ecf1fb1fbbb2a62f61f3f73481f )

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2006/06/20

[ webdev ] よりよい Web サイトを作るための5ステップ

個人サイト、企業サイト、商用サイトを問わず「良い」 Website かどうかというのは大きな問題だ。とくに商用サイトではクリティカルな問題といえるだろう。「良い」サイトを作るためには時間がかかるし考えなくちゃならないことがたくさんある。その問題の答えに繋がるヒントが project83.com から提案された。 project83 によるとポイントは5つあるらしい。構文解釈が難しい英文が多くて頭が痛くなったけど訳してみた。誤訳があると思うので、英語に詳しい人からの突っ込みお待ちしています。

1. Create a call to Action ( アクションコールを作れ )

多くの人が機能とか要素のデザインに没頭しているけど、これらははそれほど重要じゃないんだ。

あなたの目的全体について考えてみよう。「もしユーザがサイトにいる間にこれを行ってくれたら、わたしたちが目指したことが達成できたも同然だ」ということについてだ。最も多いのは商品を購入してもらうことだろう。他には ML への参加だとか、ある項目に書き込んでもらったりというのもある。

アクションコールを1つか、可能ならば2~3作れば他のすべての基礎ができたということだ。こうなれば、全てがあなたの目標の達成を中心に展開されることになる。

アクションコールを作るということには、もうひとつの作用がある。それはウェブ開発において重要な決定を助けるはたらきだ。新しい機能とかを追加しようとするたびに、「これは目標の達成に必要だろうか?」と確認することになるからだ。

反対に、目的を絞る場合はより簡単だ。たとえば #1 をコールする目的は商品を購入してもらうためにビジターを得ることだとしよう。より大きな信頼をビジターに持ってもらう効果的な方法は賞賛の言葉がかかれたリストがあるページに誘導することだ。そのためには、消費者がアナタの商品について話し合える場所を提供して、誰でもそこを見れるようにすればいい。

2. Plan Ahead ( 将来の計画を立てろ。前もって計画しろ )

メインメニューからスタートして、それぞれのページを適所に入れていくというやり方がいい。

このプロセスは大抵はごちゃごちゃするので鉛筆を使うのが良い。でっかい図を描いてメインメニューを書く。それからメインメニューの各項目にぶら下がるページを理解できるように書き足していくんだ。どうやったらアナタの一番大切な目的にぴったり合ったサイト構造になるかな?

わたしが "Creative-types" と呼ぶこの方法を30分も行えば、アナタの目的を達成するのにぴったりなサイト構造ができあがるとおもうよ。

サイトの計画を立てる上で最良の方法は、似たような商品かサービスを提供していて上手くいっているサイトを見つけてメモを取ることだ。

3. Don't Make Me Think! ( ユーザに考えさせるな! )

これはウェブユーザビリティの大御所 Steve Krug が著書 Don't Make Me Think! に記したことと同じだ。単純に、簡単にしなきゃならないってこと。今回紹介する5つのルールの中で一番簡単なはずなんだけど、たくさんのサイトがこの原則に反している。

どうやったらクールに見えるかとかどうやったら強い印象を与えられるかっていうことを考えるのはやめるんだ。その代わりにユーザにとってより簡単になるように考えるんだ。 アナタたちがウェブ開発のエキスパートで専門知識を持っているのはわかる。しかし、余分なものを浪費しないために気をつけなきゃならないことがいくつかある。以下は全部やってはいけないことだ。

  1. 不適切な Flash が使われている
  2. うっとおしい、いらいらする広告がある
  3. ヘルプとか連絡用窓口が見つかりにくい
  4. テキストを画像で表示している
  5. テキストやコンテンツが暗い背景の上に表示されている
  6. わかりにくい業界独自の用語が使われている
4. Content is King ( 内容がもっとも大事なものだ )

ユーザがアナタのサイトを訪れるのは、情報を必要としているからだ。ユーザが必要とする情報をユーザが納得するように配置するべし。さらに、几帳面にアップデートするべし。情報の鮮度を保つことでユーザは再びサイトに来てくれる。

新しい情報は "Latest News" といったそれとすぐわかるような場所にまとめたり、メールで通知したり、ブログを使って発信することができる。とにかく、ユーザがまた来てくれるような工夫をすること。

5. Own it ( 自分で責任を持て )

サイトは自分で責任を持って管理しなきゃならない。たとえサイト構築専門業者に委託して開発してもらったとしても、最終的にはアナタ自身が責任を持って管理していく必要がある。

最後に「これらは特別なことではないけれど、ちゃんと実行すれば軌道に乗るだろう」と締めています。たしかに項目"Don't Make Me Think!" はかなりのサイトで意識されていないと思う。Flash を使わなくてもいいことに Flash が使われていたり、派手な広告がぽんぽんポップアップしてきたりするサイトは多い。最近見たあるサイトではテキストの8割が画像に埋め込まれていたけど、こういうサイトは重いのでユーザが「快適」だと感じることは少ないだろう。気持ちよく使うことができなければユーザはほかに流れてしまう。ウェブが注目されて、新しい企業がどんどん参加している今では、探せば代わりになるサービスはわりと簡単に複数見つかるものだ。ユーザがどれを選ぶかっていったら、いうまでもなく『簡単に』『気持ちよく』使えるサイトなんだよね。そして、ユーザに選ばれたサイト ( だけに限らず、書籍やソフトも ) はブログや SNS といった " 口コミ " でどんどん広まっていく。

Hiring is Obsolete7 rules for software start-ups にも書かれているけれど、ソフトウェア、特にWeb の世界では営業部隊ってのは必要ないと思う。営業部隊ってのはお金がかかるし、人が移動できる範囲には限界があるからだ。そんなものに回すリソースがあるならユーザビリティの向上に使った方がよほど効果的だ。

なんにせよ、一番大切なのはユーザビリティということだろう。これを心に留めて今日は筆をおくことにしよう。

Reference:
5 Steps to Building Better Websites
( Project83.com, Web Development, 2006/05/07 )
Don't Make Me Think! 2nd Edition
( Steve Krug 著, New Riders Pub出版, 2005/08/26 )
訳注:Don't Make Me Think!は邦訳も出ていますがそちらは第一版が元になっています。
Hiring is Obsolete( Paul Graham, 2005/05 )
ITベンチャーが守るべき7ヶ条( POLAR BEAR BLOG, 2006/06/19 )

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[ webdev ] SONY の新サービス

SONY BMG は Musicbox video という新しいサイトの宣伝を行っている。このサイトではアーティストのインタビューや撮影風景などが紹介されている。そして、SONY BMG はファンサイトやブロガー ( ほとんどは所属事務所から停止要求が書かれた手紙が送られているらしい ) にこれらにリンクすることを推奨しているのだ。サイト製作者はビデオ回線にリンクすることで特定のアーティストに焦点を当てたサイトを製作することができるらしい。

もちろんタダで動画とかを利用できるわけじゃない。SONY はこのサービスを利用した広告事業を展開していてコンテンツが再生される前に広告が流されるようになっている。今のところは Hewlett Packard と DreamWorks Animation SKG って会社の広告が流れるみたいだね。

さて、試しにこのページに Video を埋め込んでみようと思った。つまり、このページに Video を再生される領域をつくってそこで表示させたかったのだが、それはできないようだ。object タグを使って埋め込もうとしたけど、Share this video で表示される URL を利用しても実現できなかった。Musicbox video のコンテンツを利用できるといっても外部へのリンクとして使えるというだけで、ユーザが作成したページの中に組み込んで再生するということはできない。コンテンツを見るためにはわざわざ Musicbox video のクソ重たいページに移動して、そこで見なきゃならないみたいだ。

最初にこのサービスのニュースを聞いたとき。わたしはユーザが作成した個人サイトの中でコンテンツを楽しめるんだと思った。「楽しいサイトがいっぱいできるに違いない。なんて素晴らしいんだ」ってね。でもこれじゃがっかりだ。サイト製作者の立場から見ても、ネットサーファーの立場から見ても全然楽しくないよ。SONY は CGM を視野に入れた画期的なサービスのつもりかもしれないけど、それからは程遠い。 You Tube を見習った方がいいね。

Reference
Sony Music wants bloggers to promo videos, music
( CNET News.com, Michael Kanellos, 2006/06/18 )

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[ Science ] エボラ治療への足がかり

ヨーロッパの研究者によってウィルスのゲノムを保護するタンパク質の仕組みが明らかにされた。これはエボラ出血熱など効果的な治療法が確立されていない疾病の治療法の足がかりになるかもしれないという。拙訳ではあるが、EMBL のプレスリリースをここに転載する。
ウィルスのゲノムを包み込んでいるタンパク質の構造が明らかになった。このタンパク質はゲノムの複製を補助し、人の免疫反応から逃れるはたらきを持つ。

エボラ、measles ( 訳注:はしか、麻疹、嚢虫症といった病気のことを measles と呼ぶそうです )、狂犬病は発展途上国において深刻な脅威である。これらの病気は症状が異なるにもかかわらず同じクラスに分類されるウィルスによって引き起こされる。これらのウィルスは他の多くの生物とは異なっていて、遺伝情報を二本鎖DNAではなく一本鎖RNAをつかって伝達する。今回、IVMS と EMBL の研究者が、狂犬病ウィルスが人の免疫反応から逃れ人の細胞の中で遺伝子を複製するはたらきを持つタンパク質の詳細な構造を解明した。この研究は Science ( オンライン版 ) に掲載されている。この研究は新しい薬の開発につながり、また他のウィルス感染症に対して同様の方法で戦うにはどうするかという助けになるだろう。

狂犬病ウィルスが細胞膜を通り抜けて人の細胞に入り込むと、遺伝情報をもった RNA 分子は細胞の中心へと運ばれる。宿主細胞の細胞器官は大量のウィルスをコピーするために使われるように役目を変更されてしまう。宿主細胞で作られた新しいウィルスは他の細胞に感染する。この細胞器官をのっとるために重要なはたらきを持つ分子が核タンパク質 ( nucleoprotein ) だ。このタンパク質は細胞に入り込むときにウィルス RNA が宿主の免疫反応によって破壊されないようにする ( 訳注:原文は "The protein ensures that on its way through the cell the virus RNA is not destroyed by the immune response of the host." ~を通り抜けるとき( に ) というのがon one's way through の持つ意味ですが直訳すると「細胞を通り抜けるとき」となってしまいます。ウィルスは細胞膜を通り抜けて宿主細胞の中に侵入してその機能ををのっとるわけですから、このように訳しました ) 。

「核タンパク質は狂犬病ウィルスにとってきわめて重要なんだ」と IVMS のリーダー Rob Ruigrok は語る。「核タンパク質はウィルスが細胞内に入り込むために必要なタンパク質のひとつで、防御壁のように RNA を包み込んでいる。このタンパク質の盾がなければ、侵入者を排除しようとする免疫システムによって RNA は分解されてしまうだろう。」

Ruigrok のチームメンバーの一人 Aurelie Albertini はこの防護壁の正確な作用を調べるために、RNA に結合した状態の核タンパク質の結晶をつくった。そして ESRF で Amy Wernimont ( EMBL Grenoble 支局の Winfried Weissenhorn グループのメンバーだ ) が X 線解析を行ってこのタンパク質の高解像度イメージを作成した。

「核タンパク質は留め金のような役割をしている。2つのドメインから構成され、顎のような部分が RNA 鎖の周りをしっかりと包み込んでいる。いくつもの核タンパク質が RNA 分子の周りに並んで結合していて、ウィルスの RNA を分解してしまおうとする酵素はもちろんウィルスの複製に必要な酵素も RNA に触れることができないようになっている。このことは RNA を保護しているタンパク質には柔軟性があり、RNA に接近しようとする酵素を識別できることを意味している。」と Weissenhorn は語る。

複製を行うときになると、そのシグナルを受け取ったタンパク質の特定の部分が蝶番のように動くということが高精度の構造図から示唆された。

「この仕組みのため、核タンパク質を効果的な薬剤標的として使える。核タンパク質に結合して柔軟性を消失させ、閉じた状態のままにするような小さな分子は、ウィルスの複製を阻害しウィルスの拡散をストップするからだ。」と Ruigrok は語る。

狂犬病ウィルスに見られる保護方法はエボラ、 measles、ボルナなど RNA と核タンパク質の複合体が見つかるようなウィルスでも共通している。

「これは、我々の研究結果が狂犬病に対する新薬の設計だけでなく、狂犬病よりも恐ろしいものも含めて様々な疾病の新しい治療方法の開発にも役立つことを意味する。話は変わるが、核プロテインシステムの ( 遺伝的な ) 保存性には、共通の祖先や RNA ウィルスの原始的な感染ユニットについて進化論的な考察を行う余地がある。」と Weissenhorn はまとめている。

1995年にザイールで起こったエボラ出血熱の大流行は、書籍 ウィルス感染爆発 にまとめられるなど世界にウィルスの恐怖を植えつけた。わたしも致死率 90% 、治療方法なしと聞いて驚いたことを憶えている。Jenner が種痘を発明する以前にたいへん恐れられた感染症として天然痘があるが、この致死率は 20~50% だという。エボラ出血熱の致死率が桁違いに高いことが伺える。さらに効果的な治療法がなく、ワクチンも作成できない。

治療法、予防法が見つかっていないウィルスはいくつかある。そして、これらの恐怖のウィルスが世界に広まる可能性は十分にある。今回の発見で、解決への新しい道が開けた。恐ろしい可能性が現実になる前に研究者の努力が実を結んでほしいと切に思う。

Reference
Cracking a virus protection shield
( European Molecular Biology Laboratory, 2006/06/16 )
エボラウイルスのようなレベル4のウイルスの検査施設の危機的状況
( 社団法人 日本獣医学会, 山内一也, 1995/06/24 )
生涯教育シリーズ51「感染症の診断・治療ガイドライン」追補 天然痘
( 国立感染症研究所感染症情報センター, 岡部信彦, 2001/12/01 )
ウィルス感染爆発( NHK「エボラ感染爆発」取材班 著、日本放送出版協会 出版 )

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2006/06/19

[ Security ] HDDからデータを完全に消す方法

いままではHDDに保存したデータを完全に読み取れないようにするには、薬品を使って化学的な処理をしたり、 高温・高圧で破壊したりと手間も時間もかかる方法しかなかった。当然個人では行えず、これらの処理は専門の業者に委託することになっていたわけだ。

個人で行えることといったら、HDD に意味のない情報を何度も繰り返し書き込むことだったけど、この方法では "Special magnetic snooping" という技術を使うといくらかの情報は読み出せてしまっていた。

今回、アメリカの研究者が HDD のデータをすばやく完全に消去する方法を発見したそうだ。データの消去には強力な永久磁石を使用するそうだ。磁力は医療用の画像診断システム(MRI とかかな?)に使われるのと同等の強さを持つことが要求されるらしい。データの消去にかかる時間は数分間。作成されたプロトタイプは約 55 Kg 。

この程度なら一般のオフィスにも導入できるのではないだろうか?
あとは価格次第といったところか。

個人情報保護法が施行されて、会社にとっては個人情報の扱いは頭痛の種になっている。特にパソコンのリプレイスや、障害が出て交換された HDD の処理は頭を悩ませることも多い。今回の発明品が商品化されれば問題解決に繋がるかもしれない。

Reference
Researchers Find Technique to Quickly Erase Hard Drives
( 2006/06/16, Dark Reading.com, R. Colin Johnson )

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2006/06/17

[ review ] PyCookbook chapter1

Python Cookbook 2nd Ed.

まず、最初に感じたのは O'Reilly にしてはかなり読みづらい、というか unconcise な英文だということだ。 Twisted Essentials のような clear かつ concise な英文も珍しいが、ここまで unconcise な英文も珍しい。これほど酷い英文は O'Reilly では初めてのことだった。

構成に関してもちょいと難がある。たとえば recipe1.9 を理解する鍵の部分の解説が recipe1.10 に書かれているのだ。技術解説書籍なのだから、普通は逆の構成だろう。「recipe1.10 を理解する鍵は前述の recipe1.9 で既に解説したので、わからない場合は戻ってみてね」ならわかる。しかし、recipe1.9 では満足な解説もなく(というか実行例しか書いてない)、鍵となる部分の開設は後述するとの断りもないとは酷すぎる。レシピは実際のコーディングでも役に立つものがあるだけに残念だ。

幸いにして Python Cookbook 2nd Ed. は複数の著者の共著となっているので、他の Chapter はそれほど酷くないかもしれない。書籍で Python ではどうやって実装するのかというレシピを載せたものは本書くらいしかない。残りの Chapter は読みやすいことを祈るばかり。

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2006/06/15

[ Programming ] OOP、それは道具の一つ

脱オブジェクト指向のススメを読んで思ったことを書いてみようと思う。まずはわたしが OOP をどうとらえているか。それはタイトルにあるとおりだ。プログラムを開発する方法はいくつもあって、OOP はその中のひとつだと考えている。それを踏まえた上でだが、氏の主張:

「オブジェクト指向などクソの役にも立ちません!」
はいき過ぎだと思うのだ。率直に言って(以下自主規制

「周りがいう ** とやらを試しに使ってみたが、役に立たなかった。」という経験は誰にでもあると思う。しかし、一度使って役に立たなかったからといって、いきなり「こりゃ全然ダメだ。無価値だよ」と決め付けてしまうのは早すぎると思うのだ。たとえるなら、大工職人が「金槌は便利な道具だ」というから紙を切るために金槌を使ってみたが役に立たなくて「こりゃ全然役に立たないよ」と決め付けてしまうようなものだ。紙を切るならば鋏かペーパーナイフを使うべきなのだ。

「OOP を使えば、既存の問題が全部解決できる。OOP は万能薬だ。」と流布する、何でもオブジェクト指向症候群・オブジェクト指向万能主義者がいることも、使ってみたが役に立たなかったという経験を増加させる一因だろう。

日曜大工、料理、あるいは学校の図画工作を思い出してほしい。きっと用途に合わせて道具を使い分けているはずだ。用途に合わせて適切な道具を使用すれば、その道具の効果がとても実感できる。プログラミングでもそれは同じではないだろうか?OOP を全否定している人も、何でも OOP 症候群の人も、「OOP は複数ある道具の中のひとつ」という視点に立ってみてはいかがだろう?そして「経験を積む」ことは、「ケースにあった道具とその使い方」を学ぶことではないだろうか?

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2006/06/12

Google: イノベーションのための9箇条

Business Week 誌に Google 副社長マリッサ・メイヤー女史のインタビューが載っている。 梅田氏が、この中からイノベーション(革新)を生むための9箇条をまとめてくれている。 まとめているとはいえ英語なので、日本語に訳してみた。

  1. イノベーションのアイディアはあらゆるところからやってくる。
    Google は、全員が革新を起こすことを期待している。それがたとえ会計部門であっても。
  2. 可能な限り全てを共有する
    あらゆるアイディア、あらゆるプロジェクト、あらゆる納期 -- 全員がこれら全てにイントラネット経由でアクセスできるようにしている。
  3. 才気あふれる人材を雇う
    創始者である Larry Page と Sergey Brin は経験豊富であるよりも頭脳明晰であることを好む。
  4. 夢を追求する権利
    従業員は週に1日「自由」に使える日がある。新しいサービスの始まりの半分はこの「 20% の時間」から生まれている。
  5. イノベーションはすぐに完成するわけじゃない
    Google は新しいサービスを一般公開する前に、早期のまだ小さな段階からβテストをはじめる。
  6. 政治的になるな。データを使え
    Mayer は会議で「~を好む、~を気に入った (原文は I like...)」を使うことを禁じている。
  7. 創造力には期限 ( restraint )が大切だ ユーザに、いつまでにどこで手に入れられるのかといったビジョンを示せ。
  8. ユーザを第一に考えよ。金ではない。
    シンプルで簡単に使えて、気に入ってもらえるようなものを提供しろ。 そうすればお金は後からついてくる。
  9. プロジェクトをボツにするな。変形させるのだ
    拾い上げれば必ずいいものが何かあるものだ。

わたしがいた会社で、いくつ当てはまるものがあるか考えてみたけど、見事にどれも当てはまらないね。Joel Test も1つか2つだし、Google の黄金律もさっぱり当てはまってない。そりゃ、あちら側の企業と競争しても勝てないわ ( 苦笑) 。

今回の中でも特に大切なことは、誰でもイノベーションを起こす可能性を秘めているということと、ユーザを第一に考えるということだと思う。新入りだから、下っ端だからまともな考えなんて出てくるはずがないなんて考えてたら 20% ルールを取り入れるなんてないだろうし、社員みんながやる気を出すなんて全て遠き理想郷だ。お金第一でユーザビリティなんて二の次だというのも、ユーザの獲得に失敗するから結局は損をする。

若い人は若い人なりの視点があり、移籍してきた人にはその人独自の視点がある。そしてそこから生まれるアイディアにはイノベーションを起こす可能性を秘めたものもある。斬新なアイディアを元にユーザビリティに配慮したサービスを提供することがユーザを増やすことに繋がる。お金はその後をついてくるものだ。と考えるべきなのだろう。お金第一主義の皆様、考え直した方がいいんじゃない?

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2006/06/04

eijiro の辞書データ

販売されていることは、意外と知られていないのかも。わたしは 6年前から購入しているので てっきりみんな知っていると思っていたんだけど( ´・ω・`)

goodpic:英辞郎の英和:和英辞書をローカル環境で高速検索

市販のソフトなども色々あるようですが、英辞郎そのものの辞書データが、1980円というリーズナブルなお値段でダウンロード可能なのですね。

確か大学の生協のお勧めコーナーにあったんだよね。確か、簡単な紹介冊子と辞書データを収めた CD がセットになって販売されていたんだ。収録語数が多いと有名だったリーダーズよりも多くて、でも価格は2000円とすっごく安かったのを憶えてる。当時はちょうど useful な英⇔和辞典を探していたところで、2000円ならハズレてもいいかもしれないってあんまり期待しないで買ったんだ。

でも、使ってみてびっくり。それまで使っていたどの辞書よりも便利だった。付属していた検索ソフトの PDIC には特定の単語を検索するとクラッシュするとかバグがあったけど、それでも収録語数は魅力的だったな。検索しても見つからない単語は他の辞書よりもはるかに少なかったからね。

紹介冊子に書かれていたスペースアルクのページも便利だった。当時はネットで有料辞書サービスがいくつもあったんだけど、それらの有料サービスよりも格段に優れていた。まず、収録語数は圧倒的。そして表示される例文も優れてた。大抵のサービスは熟語はちょこっとで例文はひとつかそこらしか表示されないけど、アルクのサービスではたくさん表示される。単語の例文だけでも数ページ表示してくれることもあるし、それだけじゃなくて熟語を使った例文も表示してくれる。これらがとっても役に立つんだ。

ローカルで辞書データを検索するのとアルクのサイトで検索することの違いは、ひとつは検索速度。 もうひとつは例文の数と質。ローカルで検索した場合はレスポンスが非常に早いのと、多くの辞書ソフトはインクリメンタルサーチを行うのでスペルを全部入力しなくても目的の単語が見つかることが利点だ。 しかし、例文は1つか2つしかないし質もびみょ~。一方で、アルクのサイトで辞書サービスを利用した場合は、ネットワークを間に挟むのでレスポンスは前者に劣ってしまう。けれど、結果がとても見やすい。例文もいくつも表示されるので実際にどうやって使うのかもわかる。そして、辞書は常に最新の状態に保たれているし、誤訳や掲載されていない訳を報告することもできる。

いまは、PDIC とアルクのサービスの両方を使ってる。英文を読んでいて「あれ?なんだっけ?」っていう単語が出てきたときは PDIC で、英文を書くときとかで「実際にはどうやって文を作るんだろう」っていうときは例文が豊富なアルクのサービスだ。

他に、対訳君というソフトを使うととても柔軟な検索ソフトがある。詳しくは対訳君の詳細ページを見てほしい。AND や OR を使った検索やワイルドカードを使えるのはとても便利だ。便利なのだが 11000 円は貧乏人にはちょっと手が出せない。

それから、はてなの id:naoya 氏がコマンドラインから検索を行うことができる perl スクリプトを作成している。

naoya のはてなダイアリー: eijiro.pl 改

この1,980円の英辞郎データで eijiro.pl するスクリプトをでっちあげてみました。 使う人はいないとは思いますが、いちおう svn co http://svn.bloghackers.net/public/eijiro/trunk からチェックアウトできると思います。
とのこと。初期化などの操作が必要なので、使い方については同エントリを参照すること。 eijiro.pl を使えば Linux でも使えるようになるんじゃないかな。

Reference
英辞郎 ( EDP グループ )
対訳君 英辞郎詳細 ( MCL Corp )
英辞郎の英和:和英辞書をローカル環境で高速検索 ( 2006/06/02, Goodpic, jkaneko )
eijiro.pl 改 ( 2006/06/02, naoyaのはてなダイアリー, 伊藤 直也 )

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[ Internet ] Social Bookmark

現在ブックマークを del.icio.us に移行しています。
え?なんではてなブックマークじゃないのかって?なんで Windows Live Favorite じゃないのかって? 両方とも試したさ。でも、両方とも使いにくかったんだ。わたしが使った中では del.icio.us が一番使いやすと感じた。ソーシャルブックマークを始めたいんだけどどれが一番いいのかって訊かれたら、わたしは del.cio.us をお勧めするよ。

オンラインブックマーク自体は結構前からある。実際、わたしは4年ほど前にもいくつか使ったことがあるんだ。 自宅でもそうじゃない場所でも、同じ bookmark を使えるのはよかったんだけど、それでもあんまり使い勝手 -- ああ、最近は「ユーザーエクスペリエンス」って言うんだっけ?-- がよくなかったんだ。 ただ単にリンクを利用するだけなのにログインプロセスを要求されたり(編集するためにログインを要求されるのはわかるが)、JavaScriptを強制されたりすることもあった。なにより、bookmark の編集作業、import/export が面倒だったんだ。さらに悪いことに、多くのサービスでやたらと目に付く派手な広告があった。 Lunascape や Sleipnir が出てくるとわたしはオンラインブックマークは利用しなくなってしまった。これらのブラウザでは bookmark は1つのファイルで、しかもサイズが小さいから圧縮すればフロッピー1枚に十分収められるからフロッピーで運ぶようになった。やがて、自宅の PC に VPN で接続して1つの bookmark file を共有するようになって完全にオンラインブックマークサービスを利用する意味がなくなった。

こんなわけで、最近になってソーシャルブックマークがどうこうと言われるようになっても流していたのだ。 「オンラインブックマークを言葉を変えただけじゃないか」って思っていたんだ。ただひとつ違ったのは、普段なら「ソーシャルブックマーク使ってる?」って訊かれたら「そりゃ大して面白くないよ。online bookmark が改名しただけさ」と否定してしまうことが多いのだけど、今回はそうしなかったことだ。大学時代からの友人で、いつもすごいアドバイスをくれる havana がメインの情報源として使ってる。他にも梅田氏や Dan 氏、naoya氏, jkondo 氏も使っているようだ。わたしが気付いていない何かがあるのかもしれない。Freakonomics の著者 Steven D. Levitt が「通念はだいたい間違っている。データと真っ正直に向かい合えば、新しい驚くような発見にたどり着けることが多い」といっていたのを思い出して、しばらく観察することにしたんだ。

すると、いくつかが見えてきた。最初はタグを使った整理は思いのほか便利だということだ。フォルダを使った整理では、複数候補があって、さてこれはどこに入れたらいいかなと悩むこともある。人間というのはその時々によって思考が変わるもので、後になってその bookmark が見つからなくて「あれ?たしかここに保存したはずなんだけどな?」と探し回ることが多々あるのだ。でも、タグを対象にしたサーチならそんなことから開放される。タグはいくつでもつけられるからね。たとえば、わたしがマークした Twisted ページへのリンクの場合は次のようになっている。

url: http://twistedmatrix.com/trac/
description: Twisted
tags: python twisted framework library extension webdev...

タグに設定したどの単語で SELECT してもこのリンクは見つけられるんだ。タグに入れる言葉も割りと簡単に設定できる。ソーシャルブックマークは他のユーザのブックマークと相互作用があるから、他のユーザが同じエントリをマークするときにどんな言葉をタグ付けしているのかがわかるんだ。表示された単語を片っ端からタグに詰め込んでおけば、次に検索したときも大抵は見つかってくれる。ポイントは面倒だと思わずに似たような単語も登録しておくことかな。

次が、前述の通り、ソーシャルブックマークは他のユーザとの相互作用がある。どういうことかというと、自分がマークしたページや、タグに入れた言葉を使っているほかのユーザがどんなページを見ているのか、どんなことに興味があるのか参考にできるということ。自分がまだ知らない情報がどんどん見つかる。その中には「へぇ!こんなこともあるのか!」って驚きをプレゼントしてくれるものもある。つまり、視野を広げるためにとっても役に立つのだ。

3つ目は、自宅でも会社でも出張先でも同じ情報源が持てるということ。いつもと同じ情報源があるというのはかなり大きな安心感をもてるんじゃないかな。これ自体はかつてのオンラインブックマークにもあったことだけど、ソーシャルブックマークでは使い勝手が大きく改善されている(といってもサービスごとに差はあるよ。Windows Live favorites は使いにくかった (>_<;) 後述参照 ) し、やたらと目に付く派手で目障りな広告もない ( これもサービスごとに差があるよ ) 。

整理が楽で、視野拡大にも繋がるし、使いやすい。わたしもソーシャルブックマークに参加することに決めた。候補に挙がったソーシャルブックマークは3つだ。ちなみに、日本語が使えるかどうかってのは判断基準には入ってない。よほど酷い ( unconcise な ) 英語でない限りは大丈夫だと思ったし、実際 理解できないほど難解な英語はなくむしろ読みやすかった。

  1. Windows Live favorites : .NET pass を持っていたから
  2. はてなブックマーク: チェックしているブログははてなユーザが多いから
  3. del.icio.us : 秋元氏のブログがきっかけ。あとはサイトが美しかった。

まず最初に試してみたのは Windows Live favorites だ。理由は簡単で MSDN Subscription をもっているわたしは .net pass に既にアカウントがあるので、使い勝手がよければこれをそのまま使おうと思ったからだ。が、目論見は外れた。率直に言って使いづらい。とにかく「重い」んだ。いくつファイルを読み込んでいるんだか知らないが、ログイン -- ああ、MS では Sign-in っていうんだっけ -- してから操作ができるようになるまでに5秒以上かかる。わざわざ「処理をしていますお待ちください」というダイアログまで表示してくれる。しかも、スクリプトエラーが発生することが結構ある ( たぶんファイルをローカルに落とすときに伝送系路上で拾ったノイズか何かでエラーが紛れ込んだんだろう )。こういったサイトで読み込みに時間がかかるのは、多くの場合 JavaScript が原因だ。ログインページが JavaScript 必須だったから ON にしていたのだが、ログインが終わったら OFF にしてしまえばいいと考えた。が、やっぱりダメだった。どうも、すべてのページで JavaScript が必須らしい。MS からしてみれば 「Ajax で more interactive なサービス」を作ったつもりなのだろうが、はっきり言って全然ダメだ。唯一使えそうだったのが、フォルダとタグの両方で整理できるという点だったが、フォルダのネストができないので結局タグだけで整理しているのと変わらない。

ついでに、.net pass を作るときも結構情報の入力を要求されたことを覚えている。う~ん、最初から .net pass を持っていても使いづらいし、新規参入なんてとんでもない。 bookmark を使えるようになるまでに時間がかかりすぎること、一つ一つの動作が重たいこと ( interactive には程遠い ) 、常時 JavaScript を要求されること。この3つの欠点のため、わたしは Windows Live Favorites は使わないことに決めた。

次は、はてなブックマーク、通称「はてブ」だ。これは havana が使っているから。さて、はてブを使うためにはユーザアカウントを作らなきゃならない。www.hatena.ne.jp にアクセスして・・・アカウント登録ページへのリンクはすぐ見つかった。そのリンクをクリックした後、わたしはすぐに del.icio.us を先に使うことに決めた。なぜかって?逆にわたしが訊きたい。何であんな長ったらしい登録ページなんだい?ユーザ名とパスワードとメールアドレスがあればそれでいいじゃない。

わたしの友人には、普段からコンピュータをバリバリ使うタイプの人間のほかに、仕事で仕方なく PC に触るタイプの人間もいる。つまり、あんまり「あちら側の世界」に明るくないタイプだな。で、後者のタイプの友人から使いやすいソーシャルブックマーク教えてくれないって頼まれてて、お勧めできるソーシャルブックマーク探しも兼ねているんだ。彼らと話をして初めてわかったことなんだけど、彼らは何箇所も入力しなきゃならないことがあったりごちゃごちゃ注釈がついてて長ったらしいページがあると、それはとっても難しいことなんだって思い込んでしまう。.net pass の登録画面ほどじゃないけど、はてなの登録画面も十分当てはまる。わたしはめんどくさいと思った。

というわけで残った del.icio.us を使ってみることにした。
delicious_screen_shot
サイトにアクセスして、ぱっとみで「あ、使いやすそうだな」って感じた。Blink でも書かれているけれど、最初の「なんとなく~そうだ」というフィーリングはとても重要だ。del.icio.us は感じたとおりとても使いやすかった。トップページの、それも一番目立つところに検索BOX がある。新規登録もとても簡潔で簡単だった。スクリーンショットを見てほしいんだけど、入力しなきゃならないのは青く囲った部分、たった3つの情報だけだ。ユーザ名にパスワードにメアドを入力して Enter を押せばそれでOK. わたしは10秒もかからなかった。そのあとにチュートリアルページに進むんだけど、これも簡潔で簡単。解説のためのでかいスクリーンショットをいれても1024x768 のウィンドウ 1ページくらいだったかな。行う操作も簡単な操作がたった2つ。それが終われば、普通にブラウジングして気に入ったページを見つけたらリンクバーの「post to del.icio.us 」ボタンを押すだけでブックマークできる。ちなみにdel.icio.us ではブックマークの追加には Javascript が必要だけど、使うだけとか検索するだけなら必要ない。これもまた利点の一つだと思う。

欲を言えばブックマークをクリックしたら新しいウィンドウで開いてくれるともっと便利なんだけどな。 参加がとても簡単だし、その後の操作も簡単なのでソーシャルブックマークは del.icio.us を使うことに決めた。わたしのブックマークは こちら

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2006/06/03

[ Python ]Python2.5 final will be released at 2006 Aug.

CNET によれば、Python2.5 final の公開予定が今年の8月に早められたそうだ。 これは3月の終わりに行われた "Need for speed" programming sprint の 結果を考慮してのことらしい。なお、2.5β版の公開予定は 6/14 とのこと。

Reference.
Python gets faster (2006/05/30, CNET, Candace Lombardi)

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