OS が吹っ飛んでしまうと、大抵は元の環境に復旧するまでに1日かそれ以上を費やすことになってしまう。しかし、Fred Langa 氏によるともっと短時間で復旧させる方法があるという。その方法が personaltechpipeline.com に掲載されたので翻訳してみました。
ここで紹介する方法は、メーカー製 PC によく付属してくる "リカバリ CD " では実行できません。
必ず、Windows の "セットアップ CD " を用意してください。
Windows XP の リビルド/リペア オプションにはとても強力なものがあるんだけど、それはわかりにくいところに隠されていて、さらにそれを使うにはちょっと混乱してしまうようなインターフェイスに触らなきゃならない。リスクはあるけど挑戦してみる価値は十分にある。 XP を完全に修復して綺麗な状態にできるんだ。既存のソフトを再インストールする必要もないし、アカウントに関する設定だって残ったままだなんだ。
わたしたちはリカバリコンソールの制限を解除してより多くの障害から復帰できるようにしたりとか、起動を妨げる多くの障害を修復する "Rebuild" 系のコマンド ( これはあまり知られていない ) の使い方とかを解説してきた。これらはOS に障害が起こったときにまず最初に試すような方法だ。
しかし、リカバリコンソールをつかった復旧作業で回復できないとなると、クリーンインストールも視野に入れなきゃならない。あー、待って待って!その前に、まずはこれから説明する方法を試してほしいんだ。
手抜き再インストール (訳注: 原文は "The no-reformat reinstall" ) を始める前に Windows XP のセットアップ CD を用意してほしい。できれば、サービスパックとか hot fix を統合したイメージを基に作成したブータブルCD がいいな。CD が用意できたら、それを使って PC を起動しよう。そして 画面1 が表示されたら、何でもいいからキーを1回押してほしい。
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画面1
手抜き再インストールの第一歩。 まずはセットアップCD から起動
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セットアップ CD を読みにいく前に、HDD を使って起動してしまう場合は BIOS の起動順位の設定を変更する必要がある。これは使用しているマザーボードごとにいくらかの違いがあるので、マニュアルを読むかこの辺を参考にして各自で設定してほしい。
セットアップ CD から起動できたなら画面2 を見ることができるはずだ。
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画面2
CD ブートが成功すると、自動的に画面に "Setup is inspecting your computer's hardware..." というメッセージが表示されるはずだ。 |
少し待てば、画面3のような、背景が青くなった ( 一部の人にはお馴染みの ) Windows セットアップの開始画面が見れるはずだ。この段階ではまだ HDD のデータは何も変更されていないから心配しなくていいよ。
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画面3
この画面では「セットアップを開始した」様なことが書かれているけど、これは大げさだ。
この段階ではただ単にセットアップが始まったに過ぎない。HDD のデータは何も変更されてない。
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画面3の後しばらくすると「セットアップへようこそ」画面が表示される ( 画面4 )。
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画面4
セットアップへようこそ画面。ちょいとばかし言葉少なめ。
この画面に書かれている修復オプションは目的のものじゃないんだ。
ずるいことに隠しオプションがあるんだ。
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この言葉少なめな画面が多くのユーザを間違った道に誘ってきた。ここにも修復オプションがあるけれど、これは手抜きインストールのためのものじゃない。ここに明示されているオプションはわたしたちが探しているものじゃないんだ。( 念のために書いておくと、リカバリコンソールを使った修復はちょっとした問題の解決には役に立つものだ。こことかここで解説したように。)
わたしたちが本当に捜し求めているオプションは「Windows XP のセットアップを開始するには Enter キーを押してください」のすぐ下に隠されている。
Windows をまっさらな状態からインストールするのと同じように、まずは Enter キーを押すんだ。
次に表示されるのは使用承諾許可証の画面だ。こりゃまっさらな HDD に XP をセットアップするときに表示される画面じゃないかって?不安になるかもしれないけど、正しい操作手順なのでそのまま進んでほしい。手抜きセットアップの多くの画面は、フルセットアップの画面を間借りしたものなんだ。F8 キーを押して次に進もう。
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画面5
ライセンス確認画面には修復作業か0からインストールするのかを示唆する記述はどこにもない。この画面が表示されても正しい手順を行っているので心配しないでほしい。
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次の画面では、「既にインストールされている Windows の検索」が行われる。ここでセットアップを取り消すこともできる。さて、わたしたちの場合は既存の Windows を置き換えるのではなく、修復したいのだ。-- これまた言葉足らずな画面だね。
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画面6
目的は今入っているものと同じ Windows を修復することだ。しかし画面の説明が足りないために古い Windows のアップグレードか新規インストールしかできないように思える。しかし、頭の足りない言い回しにだまされないでほしい。この画面が表示されても、まだ正しい手順を行っているのだ。
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「既にインストールされている Windows の検索」が終わると、ついに通常のセットアップとは違う画面が表示される。この画面はわたしたちの目的の手抜きセットアップに特有のものだ。画面7 のようにセットアッププログラムは障害が起きている Windows XP を見つけて修復することを提案してくれるのだ。
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画面7
ここにきてようやく目的の修復オプションが表示される。セットアッププログラムは障害が起きた XP を見つけて修復を提案してくれる。あとは修復のために R キーを押せばいい。
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リストボックスにある XP が選択されていない場合は、十字キーを利用して選択する。選択すると文字の背景が反転する。その状態で R キーを押すと修復が始まる。
修復の過程で、Windows フォルダとそのサブフォルダからシステムファイルが選択的に削除されて、セットアップ CD から正常なファイルが適切な場所にコピーされる。
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画面8
修復作業では壊れている可能性のあるシステムファイルがセットアップ CD の正常なファイルで置き換えられる。
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次に修復プログラムはレジストリを処理する。正常な部分はそのまま残されてそうでない部分は再構築される。
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画面9
特筆するようなことはないんだけど、この処理があるからこそ手抜きセットアップが「使える」ものになる。修復プログラムがなるべくレジストリに記録されていることを保存しておこうとするからこそ既にインストールされているソフトやハードを再インストールする必要がなくなるんだ。
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終わったらシステムを再起動させる必要がある。ほうっておいても自動的に再起動するけど、その前にセットアップ CD から起動しないようにドライブからディスクを取り出しておこう。
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画面10
正常なシステムファイルが復元されて、レジストリの再構築の準備ができたらシステムを再起動させる必要がある。またセットアップ CD から起動してしまわないように、ドライブから CD を取り出しておこう。
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最初の再起動は、通常の再起動よりも時間がかかるし、セットアップが続くように見えるけど驚かないように。もう一度いうけど、クリーンインストールによく似ているだけなんだ。
修復セットアップのはじめに「地域と言語のオプション」と「プロダクトキー」の入力を求められるから普通のセットアップと同じように入力して次へ進もう。
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再起動後も修復は続く。一見するとクリーンインストールを行っているように見えるけど心配しなくても大丈夫。ちゃんと修復が行われているはずだから。
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修復を進めていくなかで表示される画面はクリーンインストールのときの画面とそっくりだ。でもご安心を。修復はちゃんと進んでいるし、それぞれのステップにかかる時間はフルインストールのときと比べてかなり短くなっているはずだ。
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画面13
修復のときのセットアップ画面ではいくつかのステップがスキップされたり、より短時間で完了する。これはそれぞれのステップで必要になる情報が既に存在しているからだ。たとえば、「周辺機器のインストール」と「ネットワークの設定」はクリーンインストールのときに比べて入力する情報が少なく、また時間も大幅に短くなっている。
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表示されているセットアップ画面では、修復が行われていて各ステップにかかる時間は通常のセットアップよりも大幅に短いという事実が反映されていないだけなのだ。
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画面14
「周辺機器のインストール」と同じように「ネットワークのインストール」も短時間で完了する。既にインストールされている情報を利用してそれぞれのステップを進めていくからだ。実際に必要となる時間はプログレスバーに表示される見積もり時間よりも大幅に短いのだ。
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「Windows をインストールしています」の過程が終わると、次は「インストールの最終処理を行っています」の画面に移る ( 画面15 )。
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画面15
「インストールの最終処理を行っています」の画面。このもっとも長く表示される画面が終われば修復作業も終わったことになる。
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処理が終わると PC はまた再起動する。このときの再起動も通常よりも長い時間がかかるけど何も問題はない。それが普通なのだ。
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画面16
ここまでの一連の修復作業が終わった後に、もう一度再起動しなきゃならない。
このときの再起動は、通常の再起動に比べて時間がかかるけど何か問題が起きたとかじゃないから心配はいらない。
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再起動すると、簡単な「ようこそ」ページが表示されるよ ( 画面17 )。
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画面17
長々と続いた作業もあと少し。ここからの画面もクリーンインストールの画面と共通したものが多い。
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ネットワークの接続設定と、ユーザー登録だとかアクティベーションの手続きが終わると「設定が完了しました」ページが表示される。
*訳注: この段階ですぐにアクティベーション手続きを行うのではなく、作業を全て終えてからアプリが起動することを確認してからアクティベーションを行うことを推奨します。
2014-02-17 追記
「アクティベーションは不要だった」との情報をいただきました。
アクティベーションを求められなかった場合は、気にせずに次のステップへ進んでください。
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画面18
これが作業の最終ステップになる。かなり短い時間で終わるんじゃないかな。作業が終わると「設定が完了しました」ページが表示されるよ。
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大抵はここでまた再起動をしなきゃならない。それで修復作業工程が全部終わることになる。再起動が終われば通常のログイン画面に移行するはずだ。
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画面19
この再起動が終われば、あなたの Windows XP はクリーンインストールをしたのと同じくらいフレッシュな状態になっているはずだ。しかし、以前にインストールしたソフトやハード、ユーザ設定は ( データに異常が出ていなければ ) そのまま残っている。
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全てが計画通りに行われていれば、ユーザ設定やハードウェア設定は以前のまま残っており、ソフトも同じくインストールと設定がされた状態で存在していることに気付くでしょう。
筆者の以前のエントリも読んでいれば、比較的簡単なレジストリクリーニングやSafeModeを使った修正からやや難しい回復コンソールを使った復旧作業 ( その1, その2 ) に加えて、今回の手抜き再インストール方法がアナタの修正方法リストに加わったことになるね。
この方法を知っていれば、よほどのことがない限りは、時間も手間もかかるクリーンインストールをする必要はなくなると思うよ。
- Reference
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XP's No-Reformat, Nondestructive Total-Rebuild Option
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2006/06/19 )
- The OS Inside The OS
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2006/04/30 )
- XP's Little-Known 'Rebuild' Command
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2006/04/17 )
- How To Save An Hour ( or More ) On XP Installs
( personaltechpipeline.com, Fred Langa, 2004/09/20 )