[ review ] ヤバい経済学 読了

ヤバい経済学 ( 通称 Freakonomics ) 読了。
世の中にある、多くの人がこうに違いないと信じきってしまっていること -- Steven D. Levitt は通念と呼ぶ -- や、普段あまり気に留めないことを違う角度から見るとどうなるか。実に鋭い考察だ。
たとえば、1990年代初めのアメリカでは犯罪がどんどん増えていた。1980年からの犯罪発生回数をグラフにするとうなぎのぼりといってもいいほどだった。1995年には、犯罪はもっともっと増えるといわれていたが・・・。2000年になるとがっくりと減ってしまった。この理由については、「景気がよくなったから」とか「画期的な犯罪取締り」といった説が広く受け入れられている。しかし、著者はこれに一石を投じたのだ。「データはそんなことは反映していない。もっと別の理由があるのだ」と。わたしはまず驚き、そして納得した。
Don't Politic, Use Data.
本書ではこの姿勢が貫かれている。 "Don't Politic, Use Data." は Google が掲げるイノベーションのための9箇条にもあるデータドリブンの原則をうたったものだが、研究者にとっても必須といえる「お約束」だ。しかし、いざ実践するとなると非常に難しい。妥当性のあるデータを見つけるのも一苦労だし、膨大なデータの山をどの角度から見たらいいものかといつも悩む。
ヤバい経済学を日々のあれこれに応用するとき、少なくとも1つ、いつも底のほうに流れているものがある。それは ( 中略 ) 筋の通った考え方をするということだ。そのために必要なのは、新しい見方をする、新しい理解の仕方をする、新しい測り方をする、そんなことだ。という著者のデータの集め方、視点の角度の付け方はとても参考になる。
( 終章より抜粋 )
なお、原著は経済学の教科書としても使われるようになり、その補助として Freakonomics Study Guides まで書かれています。筆者 Steven D. Levitt の Web サイトはこちら。 Freakonomics Study Guides は こちら。
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