10/24, 25 に Cafe Solare 秋葉店で行われた「レノボWindows 7パソコン タッチ&トライ イベント」に参加してきた。
主に Windows7 Lenovo Enhanced Experience ( 長いので以下 Lenovo EE ) とタッチパネルディスプレイを搭載した T400s を見るために。
室内には W700ds と IdeaPad, Thinkpad X200 なども展示されていた。しかし、W700ds 持ち運ぶにはあまりに重すぎ、価格もあまりに高すぎる。最低で30万くらいらしいですが、それだけあれば遥かに高性能なデスクトップ WS を作る自信がある。そして IdeaPad と X200 はわたしの使用用途には耐えない。これらは全く見ていないので悪しからず。
Lenovo EE
Lenovo EE は専用にカスタマイズされた BIOS とドライバ、起動時にドライバとサービスを読み込む順番を最適化することで Windows7 の起動、再起動時間を劇的に短くする技術。今回発表された新しいモデルだけでなく、一部の既存モデルでは必要な BIOS とドライバが提供されるとのこと。
さて、デモを見てみると確かに起動が早い。Lenovo EE を使用したマシンでは、使用していないマシンの POST 処理が終わりようやく Windows のブートシーケンスに入ったあたりで既にデスクトップが表示されている。デスクトップが表示されるまでに必要な時間は 10 秒程度だろうか。何も最適化をしていないマシンと比べると圧倒的な速さだ。
技術に詳しいスタッフがいないとのことで、突っ込んだ話は聞けなかったが、デモを見た限りでは BIOS の処理が大幅に短縮されていたように感じる。調べてみると、やはり BIOS のチューニングが大きいみたいで、Inside The Box に IDF でヒントを得たことが書かれていた。
At Intel’s Developer Forum last week, the Phoenix BIOS team showed a proof of concept system which loaded Windows 7 in under 10 seconds!
(意訳: 先週の IDF で Phoenix 社の BIOS チームが Windows7 を 10 秒以内で起動させてみせたのだ!)
( Lenovo + Windows7 = Speed, 2009-09-28, Inside the Box )
デスクトップが表示されてからも、すぐに操作できていた。XP, Vista はデスクトップが表示されてもしばらくは待たされていた(*1)が、それとは大違いだ。サービスの起動順序の調整のほかにサービスの「遅延開始」もうまく使っているのではないだろうか。
10秒程度で起動できるならば sleep, hivernate は必要なくなる。sleep, hivernate はどちらもマシンの動作が不安定になることが多々ある(*2)。また sleep はバッテリを消費してしまう欠点があるし、hivernate は状態遷移に時間がかかりHDDを大量に消費するという欠点がある。これらの欠点に悩まされなくなるというのは非常にうれしい。
Windows タッチとタッチパネル採用 Thinkpad
液晶にマルチタッチ対応パネルを採用した Thinkpad T400s を実際に操作してみた。正直にいうとこちらは全く期待していなかった。
タッチパネル対応モデル、いわゆる Tablet PC は XP の時代からある。わたしは X61 Tablet も使用しているが、Vista は「マウスの代わり」としての操作しかサポートしていない。Vista でできることといえばせいぜいシングルクリック、ダブルクリック、ドラッグ&ドロップくらいなものだ。Tablet PC に「合わせた」アプリケーションもほとんどなし。Tablet PC を使っていてよかったと感じる場面はペイント(*3)でホワイトボード代わりにできたことだ。
しかし、タッチパネル搭載 T400s を実際に操作してみた感想は「すごくいい」の一言。Windows7 そのものが多数のジェスチャに対応しているし、Lenovo が用意している ThinkVantage ツールもタッチ操作を意識したものが多数あるので、快適に操作できるのだ。ThinkVantage ツールのひとつ SimpleTouch は「遊び」の要素がさりげなくあるのもいい。使っていて楽しくなる。
なにより、実際に画面のオブジェクトを直接操作できるというのはマウスやタッチパッドよりも遥かに直感的でわかりやすい。タッチ操作に対応したアプリケーションが出揃うにはしばらく時間が必要かもしれないが、将来は画面をポンポンポンとタッチして必要なところにデータを入力していくような使い方が主流になるかもしれない。そして、マウスを使うのは「レガシー」なアプリケーションだけという時代になるのかもしれない。
今週末は久々に将来が楽しくなる時間を過ごすことができた。デスクトップとノートの両方を新しくしたいと考えたのは、数年ぶりだ。
今回の試用で残念なことを上げるとすれば3つある。まず一つ目は Windows7 について。
「タッチ操作に標準で対応」と謳っているが、そうとは思えない箇所があるのだ。その最たる例がウィンドウの「閉じる」「最大化」「最小化」ボタン。これらが相変わらず小さいだけでなく、その間隔もまた狭い。ウィンドウを閉じようとしたのに最大化されてしまったり、その逆に最大化するつもりがウィンドウを閉じてしまうこともあった。設定すればこれらのボタンの大きさも変えられるのかもしれないが、設定変更しなければタッチ操作でストレスを感じるってのはどうなのよ?と思わずにはいられない。
次に、用意されていた試用機について。Windows タッチが活きるか ( それとも今までと同じように沈むか ) はアプリケーションにかかっていると思うのだが、アプリケーションを試せるマシンがなかったのだ。たとえば、PowerPoint はジェスチャで操作できるのかといったことを確認したかった。また Thinkpad のパフォーマンスを確認するためにもアプリケーションがインストールされているマシンは必要だと思う。「ある程度の処理能力は必要だ」とされているアプリケーションをインストールしておき、それらがさくさく動作することが確認できれば、Thinkpad は十分なパフォーマンスを持っているという確信に繋げることができると思う。
最後に、新しい Thinkpad T400s のスペックだ。つい最近公開されたばかりの VisualStudio 2010 beta 2 の System Requirement(*4) に「1280x1024 以上のディスプレイ解像度」というものがある。残念なことに T400/T400s のディスプレイ解像度はこの要求を満たせないのだ。次期 T410/T410s に期待したい。
(*1) 起動直後だとマウスカーソルが砂時計になっていたりする。マウスでダブルクリックしても右クリックしても反応を返してくれるのは数十秒後。無理やりアプリケーションを起動しようとするとブルーバックしてくださる素敵仕様。「Vista を起動したら5分はエージングしろ」とかよく皮肉っていた。
(*2) ドライバ、アプリケーションに問題があることが多い。某社の某通信用アプリは sleep に移行しようとすると高確率でゾンビ化してくださいました。
(*3) Windows のアクセサリに入っているアレ。mspaint.exe のこと。
(*4) この業界の習慣なのか System Requirement のスペックは「とりあえず起動はするよ」レベルであることが多い。日本語だと必須環境と推奨環境に分かれていたりするがこの場合は必須環境=「何とか起動するよ」、推奨環境=「根性と執念があればがあれば使えるよ」レベルだと思う。なんにせよスペックを満たさないと、MS のソフトの場合はインストーラに NG 出されるか、インストールできてもまともに動作してくれない。