[ 政治 ] 科学技術白書で「基礎研究力」に警鐘
政府が決定した 2009 年度科学技術白書で、日本の科学技術力低下と基礎科学力の現状に対して危機感が表明されました。
日本の科学技術の競争力低下を憂慮し、特に基礎科学力の現状に強い危機感を表した。
白書では、この10年間に成果が出やすい、流行を追った研究に偏り、長期間かかる研究や新しい領域を生み出す挑戦的な研究など、「基礎研究の多様性」が損なわれたと指摘。基礎研究を支える研究費の政府負担比率は18%(08年度)と、仏39%や米27%、中韓25%より少なく、高等教育機関への財政支出(対国内総生産比)でも「経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位」と強調した。
( 科学技術白書:基礎研究力に警鐘 「多様性損失」, 2010-06-15, 毎日.jp )
事業仕分けで基礎研究分野の予算削減しようとしたのはどこの誰だろうね。
日本の経済は、資源の大半を他国から購入してそれを加工した製品を販売するという加工貿易に依存している。
事業仕分けでは、この危険性がまるで理解できていないとか思えない発言が多々飛び出していたと思うんだが。
お上はまったくわかっていないようだが、お金に結びつく技術というのは狙って発見できることはほとんどない。ビッグバン宇宙論には、著名な科学者の名言がいくつか紹介されているが、その中に次のようなものがあったと記憶している。
いいアイディアを見つける最良の方法は、たくさんのアイディアを出すことだ。
そして、基礎研究の大切さについては GFP でノーベル賞を受賞した下村教授も次のように述べている。
基礎研究なしに応用研究というのはありえないことだ。したがって基礎知識の進歩なしには応用面での画期的発展は望めない。基礎科学部門を研究する若い科学者たちが、よりたくさん輩出されることを切望するだけだ。短期に結果を出すことができる研究にかたよる傾向が確かにある。しかしこれは各国政府が解決しなければならない問題だと思う。
5年ほど前、研究室にいるときに聞いたのだが、直接商品化できるようなものとか特許になりそうなものでないと研究費がもらえないという。また、論文を出した数も予算に関係するという。民間企業であればこの姿勢も無理はないと思うが、国立でこの姿勢はいかがなものか。
基礎研究はそう簡単に結果が出るようなものではないのだからぽんぽん論文を書けようはずがない。また、たとえ結果が出たとしても、基礎研究は解明の段階に過ぎないのだから直接お金に結びつくことは稀だ ( お金に結びつける、つまり生活を便利にするにはどうしたらいいかとかを考えるのは応用研究 )。
多くの著名な研究者方が指摘しているように基礎なくして応用はありえない。
政府はこのことを早急に理解するべきだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント